ダンスパフォーマー 蛯名健一氏|インタビュー 1

ダンスパフォーマー 蛯名健一氏|インタビュー 1

『アメリカズ・ゴット・タレント』での優勝をきっかけに、名実ともにアメリカで活躍する日本人トップパフォーマーの地位を確立した蛯名さん。「優勝はあくまでもキャリア上のステップアップにすぎない」と冷静に語る蛯名さんに、成功までの軌跡を聞いた。

『アメリカズ・ゴット・タレント』。優勝以来の変化

『アメリカズ・ゴット・タレント』。優勝以来の変化

舞台から観客に向け、優勝の喜びを語る蛯名さん

嬉しそうな表情は見せるものの、終始落ち着いた対応ぶりがプロフェッショナルな印象

© Virginia Sherwood/NBC

 現在、アメリカや日本を中心に舞台でのパフォーマンスやテレビ出演など、目まぐるしい日々を送っています。人気テレビ番組『アメリカズ・ゴット・タレント』シーズン8で優勝して以来やはり生活にも変化がありました。何と言っても視聴率がダントツに高い番組ですから、優勝者として全米での知名度が上がったことを日々実感しています。番組に出演する前と違って、プライベートで普通に買い物をしたりレストランに行ったりしても人に見られることが増えたので、色々自制しようと思うようにもなりました。素の自分でボーっとしていたところを人からジッと眺められて、ドキッとすることも多くなっちゃいましたね(笑)。メジャーチャンネルの番組ですから、小さいお子さんもご覧になっているようで、小学生から「ファンです」なんて言われると、僕も父親ですから、がっかりさせるようなことはできないなと思います。

自分自身は変わっていない

自分自身は変わっていない

『アメリカズ・ゴット・タレント』シーズン8での優勝の瞬間

全米規模で予選が展開され、すでにプロとして活躍している出場者も多い中、日本人として初の優勝という快挙を成し遂げた

© Virginia Sherwood/NBC

 『アメリカズ・ゴット・タレント』という番組は、それまで普通の暮らしをしていた一般人が、才能だけでもって一夜にしてスーパースターになる、という構成に特徴があります。僕の紹介も、その番組の流れに沿ってシナリオが構成されたので「ダンサーになるという大きな夢を持ってアメリカに来て、この番組をきっかけにスターへの道を歩き始めた」という風なストーリーに見えたかもしれませんが、実際は少し違うんです。

 渡米したきっかけはダンスではありませんし、TV出演の前に既にパフォーマーとしてそれなりに長いキャリアがありました。だから、一夜にしてスターになったという、舞い上がるような気持ちもありませんでした。もちろん家族を養う身としては、賞金をいただけるのはありがたいですが(笑)、優勝によって仕事の数が増え、パフォーマンスに費やす時間に対する単価が上がったという、キャリア上のステップアップとして僕自身は淡々と捉えています。番組からの依頼で日本にいた妻と娘も、スカイプでのチャットという形で番組に顔を出したので、賞金は彼女たちの「出演料」として消えそうですが(笑)。


ダンスパフォーマー 蛯名健一氏

Kenichi Ebina■演出家、振付家、ダンスパフォーマー。1974年生まれ。1994年に留学のため渡米。大学付属の英語学校終了後、University of Bridgeportに入学。大学卒業後、BiTriPというダンスグループを創設、ニューヨーク・アポロシアターで2001年に日本人初の年間総合チャンピオンとなる。テレビ番組『ショータイム・アット・ザ・アポロ』でも7回連続優勝し、2007年度の年間チャンピオンとなる。2012年には日本でも単独公演を行う。2013年、人気番組『アメリカズ・ゴット・タレント シーズン8』で日本人初の優勝を果たす。
Web: www.ebinaperformingarts.com
Facebook page: www.facebook.com/danceperformer
Twitter: twitter.com/KenichiEbina


取材・文 = 中村洋子

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2014年01月号掲載