2013年を振り返って|在ロサンゼルス日本国総領事館 新美潤総領事

2013年を振り返って|在ロサンゼルス日本国総領事館 新美潤総領事

 日本は、2012年末に安倍政権が発足、アメリカは2期目のオバマ政権がスタートし、それぞれ新しい政権下で日米関係の強化が積極的に進められた1年だったと思います。特に国際秩序を無視した防空識別圏の設定等、一連の中国の行動、北朝鮮情勢など、東アジア情勢には、まだまだ不安定要因が存在するため、日本とアメリカとの防衛協力の重要性が改めて認識されました。その防衛協力のあり方については、1990年代に抜本的な見直しを行っていますが、20年近く経った今、再び見直しをする必要があるため現在両国間で協議を進めています。

 経済面では、現在日米両国は、アジア太平洋諸国の貿易投資自由化の促進を目指すTPP(Trans-Pacific Partnership)の交渉に参加していますが、この交渉がまとまれば、両国の経済関係も深まることでしょう。

 また、南カリフォルニア、ロサンゼルス地域に関しては、5月に岸田外務大臣の訪問がありました。

南カリフォルニアの大切な役割

南カリフォルニアの大切な役割

新美総領事

来年度への意気込みを熱く語る

 反日暴動に象徴されるチャイナ・リスク、東南アジアの経済発展による労働コストの上昇等を背景に、安定したビジネス先として再びアメリカが見直されています。そして、米国経済の中でも大きな位置を占める南カリフォルニアの経済的潜在力の大きさも、ますます認識されています。一方、日韓関係、日中関係での問題がこの地域に飛び火してきたようなこともありました。

 南カリフォルニアは、在留邦人の方の数が、届出ベースでロサンゼルス周辺で約7.5万人、サンディエゴまで入れると約9万人という大きな日系コミュニティです。また政治・経済面だけでなく、文化交流やスポーツ、エンターテインメントにおいても、この地域は日米間の架け橋のような非常に大きな役割を担っています。

 また私が強く感じているのは、高齢者の方がとても元気なことです。日系団体の敬老の集いに参加したり、100歳になった方に日本政府からのお祝い状をお渡しに行ったりすると、高齢者の皆様がお若くて元気なことに感心させられます。南カリフォルニアの気候や風土が活気を与えているのかもしれません。

 当館としては大きな緊急事態が起きた際に、日系コミュニティ、在留邦人の皆さんに正確な情報をいかに早く伝達するかといった危機管理体制について、各方面のご協力を得ながら、さらに改善していきたいと思っています。

エンターテインメントと食文化を、さらなる日本の文化発信元へ

エンターテインメントと食文化を、さらなる日本の文化発信元へ

岸田外務大臣との記念写真

2013年5月3日、ロサンゼルスを訪問した岸田外務大臣と

 世界のエンターテインメント産業の中心、ハリウッドにも注目しています。現在、日本からも多くの芸能関係の方がいらしていますね。もっともっと日本のさまざまなエンターテインメント文化をロサンゼルスから発信していきたいと思いますし、その分野で頑張って活動されていらっしゃる方を応援していきたいと思います。

 そのために、現地の業界とパイプをさらに強化していくことが必要になってくるでしょう。総領事館としては、そのための支援を可能な限り行いたいと思っています。

 そのひとつとして、日本に関わる題材、コンテンツを使って映画やテレビ番組を制作した監督やプロデューサーを日本政府として表彰して、親日的な業界の有力者の層と輪を広げていこうという試みを始めました。12月7日には日本コンテンツ・クールジャパン貢献者への第1回の表彰式を行いました。受賞者の1人、映画『パシフィック・リム』のギレルモ・デルトロ監督は親日家で、日本の怪獣映画やアニメから随分と影響を受けていると言われています。また、映画『トランスフォーマー』プロデューサーのドン・マーフィーさんも表彰させていただきました。この映画は、日本のタカラトミーの玩具をモチーフにしています。この表彰制度は、総領事館と経済産業省、JETROが協力し合って発足させました。こういう制度を発信元にハリウッドから世界に向け、日本のクールジャパンを広めていきたいという思いがあります。

 また、日本の食文化やお酒の普及促進は、政府としての柱のひとつですから、それも引き続きサポートしていきたいと思います。昨年12月4日に和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたように、ますます日本食が注目されていくことは間違いありません。ロサンゼルスは外務省に入省して以来、私の7カ所目の赴任地です。今まで世界各地に滞在したり、出張や旅行で色んな所を回りましたが、これほど和食が浸透し、親しまれている場所は他にはなかったです。

 公邸ではさまざまなお客様をお招きして昼食会、夕食会を催します。料理長は日本食のシェフですので、和食しかご用意しないのですが、皆様喜んで食べてくださいます。お箸が使えないからナイフとフォークにしてくれと言われたのは、ロサンゼルスでは、これまででたったの3人だけです。以前の勤務地ではナイフとフォークが必要だとか、「これは何だ?食べられないからパス」といったお客様がよくいらしたのですが。皆様が当たり前のようにお箸を使われる様子を拝見するたび、日本食の浸透度の高さを感じます。

今後も続けていきたい日系企業の積極的PR活動

今後も続けていきたい日系企業の積極的PR活動

きゃりーぱみゅぱみゅさんと

2013年5月15日、クールジャパンのビジネス・ネットワーキング・イベントに参加した「原宿カワイイ大使」きゃりーぱみゅぱみゅさんと

 現在、日本企業の貢献に関するPR活動を地道に進めています。南カリフォルニア地域で本当に地に足が付いた貢献をしている外国企業は、日系企業だと理解してもらうことは非常に大切だと考えています。17世紀以来の長い歴史のあるイギリスからの投資額は別として、ここ20〜30年を見たら日本が圧倒的に首位の投資国です。南カリフォルニアには日系企業が700社ほどあり、約12万人の雇用を産んでいます。その扶養家族なども考えたら30〜40万人の人たちの生活を支えているのです。アジア太平洋諸国からのアメリカへの投資のうち7割は日本なんです。韓国は5パーセント、中国と香港を合わせても2パーセントです。その事実は改めて認識していただき、日本が行っている良いことをこれからもPRしていきたいです。

新年のご挨拶

 平素より総領事館の業務にご協力、ご支援いただきありがとうございます。今年は午年ですので、総領事館も馬力をもって仕事をしたいと思います。日系社会の皆様にとりましても、午年にふさわしい力強いご発展の年になることをお祈りしております。

在ロサンゼルス日本国総領事館|2013年の主な活動履歴

4月 中村達司氏に総領事表彰
5月 岸田外務大臣のロサンゼルス訪問
5月 クール・ジャパンのネットワークキングイベントを実施
6月 巽幸雄氏に総領事表彰
7月 第23回参議院通常選挙(在外選挙)を実施
11月 比嘉朝儀氏に総領事表彰
12月 天皇誕生日レセプションを実施
12月 日本コンテンツ・クールジャパン貢献者表彰を実施

その他、領事出張サービスを、サンディエゴ、サンタ・アナ、アリゾナ州にて計7回実施。


在ロサンゼルス日本国総領事館 新美潤総領事

Jun Niimi■1956年1月27日神奈川県生まれ。1978年外務公務員採用上級試験合格、1979年東京大学法学部第三類卒業、1979年外務省入省、1995年在イラン大使館参事官、1998年大臣官房海外広報課長、2000年領事移住部政策課長、2001年大臣官房在外公館課長、2003年在ロシア大使館公使、2006年在タイ大使館公使、2008年経済産業省通商政策局審議官、2010年外務省大臣官房総括担当審議官、2011年9月在ロサンゼルス総領事として着任


在ロサンゼルス日本国総領事館公式ウェブサイトはこちら


2014年01月号掲載