アーティスト 杏里さん|インタビュー 1

アーティスト 杏里さん|インタビュー 1

昨年、アーティスト生活35周年を迎えた杏里さん。J-POP界のパイオニアとして新境地を切り開き、長年LAと東京でデュアルライフを送りながら、常にトップを走り続ける彼女に、セルフカバーアルバム、人生観、今年の抱負について聞いてみた。

アーティスト生活35周年記念アルバム『Surf City -Coool Breeze-』を全曲セルフカバーでリリース

 「80年代のキラキラ輝いていたあの時代をもう1度蘇らせたい」という、長年心に抱いていた思いを形にしようとセルフカバーアルバムを昨年7月にリリースしました。今も変わらず聞き続けてくれる当時からのファンの方々に加え、最近は若い世代のファンも増えてきたので、今、もう1度昔の作品を歌う時が来たという予感がしていたんです。そこで、今のサウンドで今の杏里が歌おうと、新たにアレンジしてすべて録音し直しました。ここ最近はこのCDに限らず、オリジナル楽曲の数々をひとつひとつ蘇らせるという作業をしています。実は、セルフカバーは、オリジナルを歌うよりも難しいのですが、長年歌い続けたからこそできることです。そして新たな発見がたくさんあることも魅力なので続けています。

 今回、時を経て再びレコーディングすることで、メロディーや詩の力強さを改めて感じました。土台がしっかりしていれば、どんなアレンジをしても、無限大の顔を持って永久に変化していける。楽曲がカラフルにどんどん変化していくのは興味深い発見でしたね。

 また、アルバムに収録されている『SUMMER CANDLES -Piano Version』は、LAで特別にレコーディングを行っています。

 もともと『SUMMER CANDLES』には、ボーカルとピアノだけのバージョンはありませんでした。LA滞在中に、たまたまデイヴ・グルーシンさん(注1)がLAにいらして、「ちょっとレコーディングを手伝ってくれない?」と打診したところ快諾してくださって。長年の同志のエンジニア、デイヴィッド・ライツァスさん(注2)ともタイミングがばっちりあったので、あまり決め事を作らずに発作的に作りました。レコーディングでは、とても歌いやすく、不思議と声も伸びて、素晴らしいチームワークの下、皆のエネルギーが一瞬で集結し、最高の楽曲ができました。

幼い頃から身近にあったアメリカと西海岸の音楽

 神奈川県の米軍基地のそばで育ち、毎日FENラジオを聴いていたので、幼い頃からアメリカは身近に感じていました。ラジオから流れてくる洋楽に自然に興味を持つようになり、兄たちの影響もあって、ヘビメタ、クラシック、モータウン、R&Bとオールジャンルを聴いていましたが、その中で、自分にしっくりきたのがウエストコーストの音楽でした。その頃から「あー、いつかアメリカで暮らして勉強したい!」と強く夢見ていました。

 16歳でデビューのお話をいただき、歌手に挑戦しようと決めたので、アメリカへ行く夢はしばらく遠のいたと思いましたが、偶然にもデビューアルバム『apricot jam』のレコーディングをLAで行うことが決まり、すぐにアメリカに行く夢が実現しました。

 80年代当時のLAはまだ今のようにおしゃれでも安全でもなかったのですが、渡米してレコーディングをした時、アメリカの土の上で感じた、「ここから自分の人生がスタートするんだ」という直感のようなものを憶えています。それから長期にわたり、仕事でもプライベートでも日米を頻繁に行き来しています。


(注釈)

  1. デイヴ・グルーシン(Dave Grusin):アメリカコロラド州リトルトン出身のジャズ・フュージョン、アダルト・コンテンポラリーおよび映画音楽を代表するピアニスト、編曲家、作曲家、プロデューサー
  2. デイヴィッド・ライツァス(David Reitzas):マサチューセッツ州フォールリバー出身の音楽プロデューサー、レコーディング・エンジニア。http://reitzas.com

アーティスト 杏里さん

ANRI■1978年『オリビアを聞きながら』でデビュー後、『CAT'S EYE』『悲しみがとまらない』などの大ヒット曲を次々とリリース。長年にわたりJ-POP界を代表するアーティストとして活躍。98年長野五輪では、公式イメージソング『SHARE〜瞳の中のヒーロー〜』をリリース。閉会式で熱唱した『故郷』は全世界に放映され、世界中から大きな反響を呼んだ。またプロデュース、作曲、作詞、他のアーティストへの楽曲提供なども積極的に行うほか、国内ツアー、海外公演(ハワイ、サンディエゴ、サンフランシスコ)も成功を収める。2014年3月に東京からライブツアーをスタートする
【杏里公式ウェブサイト】anri-music.com
【杏里スタッフブログ】ameblo.jp/anribox-staff
【ANRI Facebook】www.facebook.com/anribox


取材・文 = たかつなかやこ

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2014年02月号掲載