家の入り口のような小さな可愛い門

家の入り口のような小さな可愛い門

 ファッションストリート、メルローズアベニューの西端、ビバリーヒルズにほど近いところにあるメルローズプレイスエリアは、この通りの中でも最もハイエンドなショップやレストランが集まる場所。今回ご紹介するマリ・ヴァンナは気取らない個人宅のような隠れ家的レストラン。ロサンゼルスでも珍しいロシア家庭料理のお店なのだ。

 静かなメルローズプレイスを歩いていると、まるで誰かの家の入り口のような小さな可愛い門が現れる。ちょっと中を覗いてみると、ライトでデコレーションされた木とそれを囲むいくつかのテーブルが見える。ナチュラル調の落ち着いたインテリアも可愛く、本当に誰かの家の中庭を覗いているかのような雰囲気だ。

木を囲むように並べられている中庭の席

木を囲むように並べられている中庭の席

 中庭には7個のテーブルとソファー席もある。屋内も、外から続く雰囲気そのままの家庭的なインテリア。ランチタイムからディナーまで休憩なしなので、ランチやお茶の時間であれば、中庭の席が気持ちいい。ディナーならば、家庭の雰囲気が味わえる店内がおすすめ。

 さて、ロシア料理といえばボルシチしか思いつかないので、スタッフの方がおすすめするロシアらしい料理をいくつかピックアップしてもらう。料理を待つ間にサーブされるブレッドを見て、「おや?」と、いつもと違う様子にちょっと戸惑ってしまった。ブレッドと一緒にオリーブオイルとソルトはよく出てくるが、一緒に生のネギとレッドラディッシュもやってきた。これもお好みでサワークリームに付けて食べるのだそう。ハーブ入りで固めのブレッドは味わい深く、なんだか、これからやってくる料理にも新発見がいっぱいの予感がする。

Ukrainian Borscht: リクエストすると1オーダーを2人分に分けてくれるサービスが嬉しい(11ドル)

Ukrainian Borscht: リクエストすると1オーダーを2人分に分けてくれるサービスが嬉しい(11ドル)

 さっそくやってきたのは、ロシア料理の定番、Ukrainian Borscht(11ドル)。ビーツ色の真っ赤なスープに、煮込んだビーツ、タマネギ、キャベツ、ニンジンなどがぎっしりと入っている。野菜は形が崩れない丁度よい煮込み具合で、それぞれの野菜の味がしっかりと生きている。スープ自体は薄めのコンソメ味。お好みでサワークリームを入れてもいい。サワークリームを入れることで、色はピンクに、味はよりまろやかに、そしてほのかな酸味も加わりコクが出る。

Homemade Potate Vareniki: ニョッキのようなロシアンダンプリングは1度食べると、やみつきになる味(15ドル)

Homemade Potate Vareniki: ニョッキのようなロシアンダンプリングは1度食べると、やみつきになる味(15ドル)

 次にHomemade Potate Vareniki(15ドル)が登場。ヴァレーニキとはダンプリングのこと。ダンプリングと言うと、餃子を想像するが、少し違う。ポテトヴァレーニキは、小麦粉、卵、水を練って作った皮にマッシュポテトのようなものが入っている。皮は、日本や中国のダンプリングよりも厚くてモチモチしており、イタリア料理のニョッキに近い。オニオンスープのような優しい味のソースでいただく。

Golubtzi: じっくり煮込まれたロールキャベツをソースに絡めていただく(18ドル)

Golubtzi: じっくり煮込まれたロールキャベツをソースに絡めていただく(18ドル)

 メインは、「絶対に食べて!」とおすすめされたロシアのロールキャベツ、Golubtzi(18ドル)。こちらも典型的なロシアの家庭料理とのこと。ロールキャベツは日本人にも馴染みのある食べ物だが、実はロシア料理だということは、あまり知られていないかもしれない。キャベツの中には子牛の肉と野菜、そしてお米が詰められている。

 ミートボールにお米が加わるのはアジア料理では珍しいが、その他の地域ではたまに登場する組み合わせ。日本人の私たちにとってはなかなか新鮮なお米の楽しみ方だ。こちらはトマトとサワークリームのソースと一緒に。

Medovik: ボリューム&甘さたっぷりのはちみつとコンデンスミルクのケーキ(12ドル)

Medovik: ボリューム&甘さたっぷりのはちみつとコンデンスミルクのケーキ(12ドル)

 最後のデザートも典型的なロシアデザート、Medovik(12ドル)。はちみつに何度も浸した硬めのスポンジを重ねたケーキで、スポンジは色も硬さもキャロットケーキに近い。スポンジの間には、1層は凝縮されたコンデンスミルク、もう1層は、はちみつをミックスしたコンデンスミルクがサンドされている。それまでの料理の爽やかな味付けとは対照的に、深いコクのある強い甘みがあり、苦めのコーヒーと一緒に食べたい。

 食事の後、スタッフから「皆、ロシア料理は美味しくないって言うけど、全然違うでしょ?」と尋ねられた。そもそもあまり食する機会の少ないロシア料理だが、丁寧で優しい味付けに驚いたというのが正直な感想だ。メルローズでのショッピングの途中に立ち寄れる、爽やかで気持ちの良い中庭のあるレストラン。買い物ついでに立ち寄ってみては?

マリ・ヴァンナ/Mari Vanna

住所: 475 Melrose Pl., West Hollywood, CA 90069
Tel: 323-655-1977
時間: 12:00pm〜9:00pm(定休日なし)
Web: marivanna.ru/la/
※バレーパーキング


取材・文=芦刈いづみ/撮影 = Tak S. Itomi

2014年05月号掲載