健康という視点から開発された商品

健康という視点から開発された商品

 毎年のように、アイデアに溢れる新商品やサービスが生み出されては消えていくが、近年は健康という視点から開発された商品が、一層増えているようだ。

 例えば、“スマート・デスク”とも呼ばれるコンピューター内蔵の「立ち机」。仕事は座ってするものというこれまでの概念を打ち破り、立って仕事をすることで、ワーカーの運動不足を解消し、健康増進や寿命の延長を図ろうという狙いがある。

 ドリンクでは、野菜に含まれている栄養素が破壊されないよう、圧力でジュースを抽出して作る “コールド・プレスト・ジュース”の人気が高まっているほか、ワークアウト後に飲むと疲労回復効果があるという、栄養素が含まれたビールが開発されて注目されている。

 またニューヨークでは、体調に合せたカスタムドリンクやティーを提供してくれる新しいタイプのドラッグストアが登場。

 フードとして注目したいのはナッツ。ナッツに含まれているオメガ3などの必須脂肪酸が身体に良いことから、スーパーでは、ナッツ系のドリンクやアイスクリームが目立つようになった。

 “カスタムメイド”というコンセプトも注目されており、3Dプリンターで自ら物作りができるショップも登場している。こういったアイデア商品やサービスをひとつひとつ紹介していこう。

スマート・デスク|燃焼カロリーも表示する賢さ!

スマート・デスク|燃焼カロリーも表示する賢さ!

(左)スター社が製造している“スター・キネティック・デスク”は毎年ラスベガスで行われる家電ショーCESでも注目された。iPodの開発に携わったという創設者のラブロース氏は、アップル時代から立ち机を愛用し、立って仕事をすることで運動不足を解消したという

(右)テーブルの隅に付いているスクリーンを2回タップするだけで、簡単に高さを調整できる。デスクのサイドに付いているボタンを押すと“アクティブモード”となり、使用者が設定した立ち仕事をしたい時間の割合を入力すると、それに合せてリマインドし、高さを調整することができる

 ITのメッカ、シリコンバレーを中心に、今、従業員の仕事中の体勢が変わりつつある。立って仕事をする人々が増えているのだ。彼等の前にあるのは、“スタンド・アップ・デスク”と呼ばれる、いわば、“立ち机”。立ったままの状態で、各自に合った高さに調整できる。

 立ち机は、フェイスブックやグーグルなどIT企業でも採用が進んでいる。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、フェイスブック社では社員約2000人中、200〜250人が立ち机を使用しているそうだ。グーグル社も、社員の健康プログラムの一貫として、立ち机を使用するというオプションをオファーしている。

 そんなトレンドの中、通常の立ち机に、スマート機能が付加された“スマート・デスク”が登場した。どうスマートなのだろうか。スマート・デスク“スター・キネティック・デスク”を開発した、元アップル社員のジョン・ポール・ラブロース氏はこう説明する。

 「デスクに付いているセンサーが、まず、使用者がデスクの前にいることを認識。立って仕事をすることで、どれだけのカロリーが消費されているかスクリーン表示してくれます。さらに、“アクティブモード”にして、例えば、就業時間の30%を立って仕事をするように設定すると、デスクが使用者に手助けするのです。その時に立って仕事をしたい場合は、スクリーンを2回叩くと、デスクが25〜51インチの幅でアップダウンするシステムとなっています」。

 デスクは使用者の行動パターンを学び、どのタイミングで立って仕事をするのが適切か手助けしてくれるという。

スマート・デスク|立ち仕事は長生きに繋がる

スマート・デスク|立ち仕事は長生きに繋がる

(左)Wi-Fiとブルートゥースにも対応しているので、他のアプリやデバイスにも接続可能。将来は、ヘルスやフィットネス関係のソフトウェアにもコネクトできるようにしたいという

(右)スクリーンには、燃焼したカロリーが表示される。1週間、1カ月、1年の間に座っていた総時間、立っていた総時間の表示もできる

 立って仕事をすることは長生きのためにも重要だとする研究結果も出ている。アメリカがん協会のアルパ・パテル博士が、着座時間と寿命を研究した結果、毎日のエクササイズ時間の長短に関わらず、1日6時間以上座っている人は1日3時間以下座っている人より、早死にするリスクが女性で37%、男性で17%高くなるという結果を得た。

 また、姿勢を変える機会が多い人は、そうでない人と比べると、1時間早く仕事を終えることができるという。スマート・デスクは健康と能率アップのためにこれから注目されていきそうだ。

Stir

Stir

デスクの色は、青、赤、緑とポップ。組み合わせ方次第で、12種のカラーパターンが可能だ。現在、サイトを通して販売。3,890ドル。昨年11月に、1回目の受注を行ったところ、1週間で50台を完売。フォーチュン100に入る大企業からの注文もあったという

住所: 2010 Lincoln Ave., Pasadena
Tel: 626-657-0918
Web: www.stirworks.com

3Dプリントショップ|3DプリンターでDIY

3Dプリントショップ|3DプリンターでDIY

(左)主に、プラスティック素材で、自動車部品などのプロトタイプを作っているメンバーが多い。3Dプリンターの台の上に収まる大きさしかプリントできないので、たくさんの小さなパーツをプリントし、それを、組み合わせて大きなプロダクトを作り上げるメンバーもいる

(右)インスタレーション・アーティスト、照明器具、ロボットなど商品アイデアを持っている人が、主に3Dプリンターを利用。デザインスキルがないメンバーには、デザイン方法やプリンターの使い方を教えるワークショップも行っている。将来は、オンラインでもワークショップを行う予定

 近い将来、自宅で、食器やインテリア雑貨を作れるようになるかもしれない。手頃な価格の3Dプリンターが徐々に普及し始めているからだ。数年前までは数千ドルもしたが、今では、数百ドルという安価なものまで登場している。

 しかしそれでも、どうやって作ったらいいかノウハウがわからない人々が大半のはず。3Dプリンターでの物作りを試してみるのに恰好の店が〝テック・ショップ〟だ。同店は“Do It Yourself”をコンセプトにしており、メンバーは月125ドルのメンバーシップ料を払うと、同店にあるさまざまな機械や装置を使って、好きなものを作ることができる。5000人を超えるメンバーは20~30代が中心で、女性客は全体の40%も占める。2015年には日本にも進出予定だ。

3Dプリントショップ|iPhoneケースは数時間でプリント

3Dプリントショップ|iPhoneケースは数時間でプリント

(左)3DプリンターTypeAマシン。木製マシンは1,700ドル。メタル製マシンは2,300ドル。大きなものをプリントするために、写真のような、高さのある3Dプリンターも開発している。サイドにはプロダクトの何%がプリントされたかを表示するスクリーンも設置されている

(右)iPhoneケースを製造するメンバーも多く、数時間でプリントできる。3Dプリンターに接続されているコンピューターからデザインファイルが送られている。写真のような簡易な3Dプリンターでは、現在は、プラスティック素材で、一色しかプリントできない

 同店のウリは、3Dプリンターで物作りができること。実際、メンバーの半数以上が3Dプリンターを使用している。メンバーはまず、デザインやドローイング用のソフトウェアが搭載されているコンピューターで作りたい物をデザイン。デザインスキルがない人は、ワークショップを受けて学ぶこともできる。デザインしたデータを3Dプリンターに送ると、取り付けられているプラスティック製の糸のロールが、物を形作っていく。

 個人用では、家庭用ランプや子供の玩具、ジュエリー、装飾品などシンプルな物を作る人が多い。プリントにかかる時間は物にもよるが、1〜5時間。メンバーに人気のiPhoneケースは2、3時間で作ることができるという。

 商業用としては、主に、建築や工業部品のプロトタイプが作られている。入れ歯のモデルを作ったり、膝や臀部の人工関節や義足を作るなどの医療目的で、同店が利用されることもあるという。

 現在、同店では、ビジネスとプライベートの利用が半々ほどだが、今後は、家庭へ浸透していくと予測されている。

 「これからは家庭用3Dプリンターが大きな市場となるでしょう。今、音楽がダウンロードされているように、いろいろなアイテムのデザインがダウンロードされるでしょう。自らデザインした物も含め、自宅で気軽に3Dプリントして物作りができるようになると思います」と同社マネージングディレクター、ポール・ダカン氏は拡大しつつある市場に期待を寄せている。

Tech Shop

Tech Shop

(左)ショップ受付にはコンサルタントがおり、メンバーが作りたい物に合せて、どんなワークショップを受けたらいいかアドバイスをしてくれる

(右)サンフランシスコのダウンタウンにあるテック・ショップ。2階に3Dプリントのスペースがある。2015年には、日本にもオープン予定

住所: 926 Howard St., San Francisco
Tel: 415-263-9161
Web: techshop.ws


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2014年05月号掲載