拠点となる居場所

拠点となる居場所

不動産購入の際に参考にするオレンジカウンティ全域の地図を前に、愛犬のジェット君と一緒に

 僕は1997年にメジャーリーグに入団したのですが、それ以前からアメリカでプレイしたいと考えていました。腰を据えて活動するためにも拠点となる居場所が必要だと思い、1996年にベンチュラ・カウンティーのスパニッシュ・ヒルに土地を購入したのが最初の不動産購入でした。当時の年俸が約1億円くらいでしたので、2000万〜3000万円くらいの出費は、生活に支障が出る額ではなかったので、初めての購入に際して、そう迷うことはなかったですね。また、日本に比べると土地の価格がとても安いと感じました。結局エンジェルスに入団が決まったのでそこに住むことは一度もないまま、その土地は1年半後に売却してしまいましたが、それでも時期が良かったのでしょう。キャピタルゲインが出ました。ただ、たまたま買った土地や家の価値が上がってキャピタルゲインを出すというのは株の投資で言うとギャンブルに近いのです。そこで、ギャンブルにならないように僕なりに注意している不動産購入のポイントをお伝えできればと思います。

馴染みのある土地に投資をしよう

 もし投資目的での物件購入を考えているなら、馴染みのある土地であったり、自分とゆかりのある場所を購入するのが長谷川流の最初のポイントです。まったく知らない土地やあまりに遠く離れた土地だと、いくらこれから値が上がると予測されていたとしても、周りの環境がどうなのか、本当にこれから価格上昇が見込める土地なのかどうかは自分では実感できないですよね。僕には、自分が行かない所には不動産を買わないというポリシーがあるので、家族と一緒に住みたい家やオフに行ってみたい場所を購入対象として考えるようにしています。これが正解でした。自分の目が行き届く場所だと周りの環境の変化にもすぐ気付くことができ、実際に自分の目で、足で確認できます。だから今不動産を購入しているのは主に馴染みのあるオレンジカウンティが中心です。

 以前日本のオリックスでプレイしていた頃、プロ野球選手の間でオーストラリアのゴールドコースト周辺に不動産投資をするのが流行っていました。僕も興味はあったのですが、色々な事情から結局購入することはありませんでした。投資した人たちが結果的に利益を得たのか知り得る限りではありませんが、その頃から知らない場所に投資をするのはどうなのかな?と感じるようになりました。その道のプロなら自分にゆかりのない土地に不動産を買っても心配はないのでしょうが、僕はそれがメインの仕事ではないのでとても不安です。

 例えば、ヨーロッパにものすごくお得な物件があると専門家に言われても、将来的に行ったり来たりすることがある場合は検討するかもしれませんが、土地勘もない場所には、きっと今は投資しないでしょう。

自分で情報を集めて勉強すること

 2つ目の大切なポイントは自分で情報を集めて勉強すること。自分のお金を使って投資をするのだから、自ら情報を集めて勉強しなくてはなりません。自分で情報収集ができる=自分が関われることですよね。だから先ほどポイントとして挙げましたが、自分にゆかりのある場所(分野)を選ぶことが大切になるんです。シアトル・マリナーズ在籍時に賃貸用のアパートメントや一軒家を所有していましたが、普段から球場に行く途中に積極的に物件を見に行ったりして自らの足で物色して回りました。自分が理解、把握できる範囲だと知識が蓄積していきますよね。

 例えば株式投資に例えると、僕の場合は野球やスポーツの分野が専門ですから、スポーツ関連だと内容が把握できるんです。ITや製薬関連株になると、いくらこれがホットな株だと言われても内容がわからないから投資の仕様がないですよね。自分が興味のある分野じゃないと進んで勉強しようと思わないですし、アニュアルレポートも理解できないと読む気もしなくなるでしょう?(笑)ですから皆さんも、自分の専門分野、または興味があって勉強をするのが苦にならない分野に投資をするのが最適だと思います。

 そして、自分が住む家と投資目的の家は切り離して考えることが大切です。自分が住む家だったら愛着が湧いてしまったり、思い入れがある分、売り時を逃してしまったりするんですよ。だから、セカンドハウス、サードハウス、レンタルハウス、ショッピングモールなどが不動産投資物件としては適しているのでしょうね。また、投資物件に対して必要以上に感情移入をしないこと。良い場所に購入したいのは誰しも同じなのでしょうが、あまりにも良い立地だとずっと持っていたいという気持ちが先立ってしまい、執着が強くなり過ぎるのは良くありません。

 これは野球選手も同じで、例えばこのチームが好きだからといって300万ドルのオファーが来ているのに、50万ドルの年俸のチームに留まり続けるのは考えものだと思いませんか?不動産投資、株式投資でも同様だと思います。そこは割り切って考えないといけないですよね。世の中は本当にいつ何があるかわからない。リーマンショックが起こってしまったように、事前に備えられないこともたくさんありますからね。だから何かあったら機敏に動けるように、そして動かせるように日頃から意識しておくことが必要だと思います。

普段からアンテナを張り巡らせて情報収集を

 僕は日常生活の中から情報収集をしています。流行っているモールに行くと「どうやって利益を生み出しているんだろう?」とか、レストラン業界にはまったく詳しくないのですが、お客さんがほとんど入っていないレストランに行った時にはどうやって経営しているんだろう?とストラクチャーを考えたりすることがよくあります。以前はその土地のローカル新聞を購読したりもしていました。新聞のローカルセクションにそのエリアならではの情報が色々と書いてあったりするんですよ。ゾーニングが変わってもっとビルが建てられるようになったとかね。そういうニュースってそのエリア以外の人にはどうでもいい情報なんだろうけど、その街の住人には一大ニュースだったりしてね。情報自体も役に立つし、この街が変わったのなら、もうそろそろこちらの街でもそうなるかな、というような予想も立てやすくなります。

 また、僕は投資した先の物件にはよく足を運ぶようにしています。そうすれば周囲の環境の変化などもすぐにわかり、売り時などの判断の目安にもなります。例えば僕があるホームセンターの株を買ったとします。普段から足繁く通っていて、週末は人で混雑していたのに急に客足がガラガラになったとしたらその株をどうするのか考え時ですよね。そうやって普段から気にかけて、こまめにチェックしておくことで買い時、売り時のタイミングを予測することができるのです。

 バリューラインという株式投資のリサーチをする会社のウェブサイトがあるんですが、それを見ているといつもワクワクしますね。次はどの株が上昇してくるのかなとか。今、個人的に注目しているのはGELSON'Sという富裕層向けのスーパーマーケット。ロサンゼルスを中心に店舗展開をしていますが、もしこれが全米に店舗拡大を図って公開株になるようなら投資をしてみようかと思っています。ポイントは富裕層向けの客筋の良さ。絶対に流行ると思うんですよね。

 不動産投資の方でも今は色々な種を蒔いている段階ですが、最終到達点の夢としては球場経営をしたいと思っています。マイナーリーグの球場を買って、リノベーションし、選りすぐりのテナントを入れて集客をしたいですね。お客さんが喜ぶ食べ物を提供して、さらにサービス向上に努めたら、より多くのお客さんが足を運ぶようになると思うんですよ。今は球場と言えば野球を観に行く場所ですが、思い切って野球を二の次にしてしまい、「美味しいものが食べられる」というコンセプトで球場経営をしたり。マイナーリーグのチケットは10ドルくらいですが、美味しい物が食べられてプラス10ドルで野球も観戦できるというように付加価値を付ければ、球場は即座に満員になると思うんですよね。だから野球というよりもその場所自体を魅力的にして価値を高めることが勝負の鍵なのかなと思っています。いつその夢が実現するかはわかりませんが、皆さん首を長くして待っていてくださいね。

長谷川流不動産購入ポイント

①自分にゆかりのある土地を選ぶ
②情報を集めて自分で勉強する
③興味のある対象分野に絞る
④こだわり、執着を持ちすぎない
⑤売り時を見極める

長谷川滋利/Shigetoshi Hasegawa

長谷川滋利/Shigetoshi Hasegawa

Shigetoshi Hasegawa■1990年のドラフトでオリックス・ブルーウェーブの1位指名を受け入団。プロ1年目の91年に12勝し最優秀新人賞を獲得。95年には12勝、防御率2.89の好成績を残し、オールスターゲームにも出場。97年1月、アナハイム・エンジェルスに入団、02年1月、シアトル・マリナーズへ移籍。03年はクローザーに起用され、63試合に登板し2勝16セーブ、防御率1.48。オールスターゲームにも出場した。06年1月、引退。現在は野球解説のかたわら、講演や執筆活動、自身のウェブサイト(www.sportskaisetsu.com)にコラムを展開中


●野球専用トレーニング施設
PTC Mazda(トラベルチーム)MAZDA社がスポンサーする18歳以下のトラベルチームを運営中
E-mail: PTCbaseball@msn.com

長谷川滋利さんの公式ウェブサイト: www.SportsKaisetsu.com
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2014年6月号掲載