一生に一度は見てみたいオーロラ

一生に一度は見てみたいオーロラ

広範囲にわたってカーテンのようにゆらゆらするオーロラ


一生に一度は見てみたい、空に輝くオーロラ。
頭上でゆらゆらと揺れるオーロラの姿は、
とてつもなく大きく、宇宙の神秘を感じさせてくれる。
これを一度体験してしまうと、何度も何度も遥か北の地に足を運んでしまう。
今回は、そんなオーロラにはまってしまったライターいづみとフォトグラファーTakが、
自分たちの体験を交えながら、アラスカ・フェアバンクスで見るオーロラの話を紹介しよう。

アメリカ人にとってアラスカとオーロラとは?

アメリカ人にとってアラスカとオーロラとは?

北米最高峰マウント・マッキンリー(標高6,168m)


 旅行者にとってアラスカといえば、夏にアウトドア・アクティビティを楽しみに行く場所。州のニックネーム「ザ・ラスト・フロンティア」の通り、アメリカ合衆国最果ての地に大冒険を求めて、人々はアラスカを訪れる。北米最高峰マウント・マッキンリーを望むデナリ国立公園にキャンピングカーで乗り付け、キャンプやトレッキングを楽しむのが人気だ。オーロラのことを、ノーザン・スカイライト(南極の場合はサザン・スカイライト)という名で知ってはいても、それを見るためにわざわざアラスカに行くというアメリカ人は驚く程少ない。

 アラスカへの旅行は、キャンプの他にクルーズも人気だ。「Alaska Visitor Statistics Program VI Interim Visitor Volume Report」によると、アラスカを訪れる人の約半数は、クルーズ船を使う。アラスカの州都ジュノーは、どの都市からもハイウェイで繋がっておらず、クルーズでしか訪れることができないユニークな場所。クルーズ船のアラスカへの寄港は、ほぼ春~夏だということと、観光客の86%が春~夏の時期に訪れているという調査結果からも、やはりアラスカを訪れる人の多くがオーロラ目当てではないということが伺える。

 私たちが常宿にしているフェアバンクスのロッジのオーナー(以下、ロッジオーナー)曰く、夏に泊まりに来る客の大半がアメリカ人またはヨーロッパ人で、冬に来る客の8割以上が日本人。残りの約2割が、中国人と台湾人。つまりオーロラを目的に来る人は、ほとんどがアジア人だそうだ。

オーロラとは何?

オーロラとは何?

初めて見たオーロラがこのゴージャスさ!これを見るとやめられなくなる!

 ところで、オーロラとは一体、何だろうか?名古屋大学太陽地球環境研究所の資料によると、「オーロラとは、太陽風と呼ばれる、太陽から放出される電気を帯びた粒子(プラズマ)の流れが極地の大気圏に突入し、上空に引き起こす光のショーのこと」だという。

 さらに「太陽から放出されたプラズマが、地球磁気の勢力範囲に入り込み、磁力線に沿って加速され、極地の大気と衝突して発せられる光のことです。つまり、オーロラの色、形、動きには、太陽と地球の間の宇宙空間の情報が詰まっていることになります」と説明されている。

 つまり太陽風が地球の磁場に当たり生み出される現象がオーロラ。太陽風の活動が活発になるとオーロラが頻繁に発生する。オーロラが発生する位置は、地上約100㎞〜500㎞の間。大気圏外の宇宙で起こっている現象のため、地球の天気や気候などにはまったく左右されない。

オーロラはどこで見えるの?

 オーロラが発生する領域を、オーロラオーバルと呼び、その中で、特にオーロラが頻繁に発生する北緯60度~70度付近を、オーロラベルトと呼ぶ。アラスカのフェアバンクスや、カナダのイエローナイフ、ノルウェー、フィンランドなどはオーロラベルト上にある。

オーロラを見るための条件は?

オーロラを見るための条件は?

オーロラ大爆発!頭上でオーロラが渦巻く


 オーロラを見るための最低条件は、以下の3つが挙げられる。
1: 天気がいいこと
オーロラは宇宙で起こっている現象なので、地球の天気は現象そのものに直接関係はないが、空が雲で覆われていると見ることができない。
2: 周辺の光が少ないこと
オーロラの光は薄く、星と同じで、観測者の周辺が暗ければ暗いほど良く見える。
3: 高い建物や木がないこと
空一面のオーロラを楽しむには、高い建物群の中や木が生い茂る森の中は避け、空が大きく開けた場所が望ましい。

オーロラはどんな風に見えるのか?

 オーロラは、北の空から発生することが多い。発生の初期段階では、白い雲のようなモヤッとした帯状のものが見えるだけ。雲というよりも、打ち上げ花火の後の煙のような、ひょろ長い白いものと言った方がわかりやすいかもしれない。初めて見る人は、「これがオーロラだよ」と言われなければまったく気が付かない。

 オーロラは太陽風の強弱によって、強ければ北から南へ、弱ければ南から北へ移動する。風に揺れるカーテンのようにゆらゆら揺れながら、範囲が広くなったり、狭くなったり、伸びたり、縮んだり。自分が見ている空全体がオーロラに埋め尽くされることもあれば、数カ所に小さいものがちょこちょこ出現することもある。そして、その小さなオーロラが融合して巨大オーロラを作ることがある。また頭上の1点から放射状にオーロラが発生することもある。これはオーロラ大爆発と呼ばれる現象。まさに頭上で何かが爆発したかのような迫力だ。

オーロラの色は?

オーロラの色は?

幾重にもオーロラが頭上に輝く

 オーロラの写真を見ると緑や赤、紫のものが多い。しかし、実際は白が基本。写真の方がはっきりと色を捉えることができるため、きれいに色が出るのだ。肉眼で赤や緑などの色が見える程、はっきりとしたオーロラが見られるのは1カ月のうち数日程しかない。

 前出の名古屋大学の資料によると、「オーロラ発光の原理は、簡単に言えば放電です。オーロラの色は、宇宙から突入してくるプラズマ粒子のスピード(すなわち、エネルギー)と、その粒子が大気中のどの原子や分子に衝突するかによって決まります。やってくる粒子のエネルギーが高ければ高いほど、地球の近くまで届き、観測者からは低い位置に見えるわけです。

 一番典型的なのは、酸素原子が出すグリーンと、電離した窒素分子が出すブルーでしょう。同じ原子から出るオーロラでも、受ける衝突エネルギーによって色も変わります。例えば、酸素原子からは、真っ赤なオーロラも光ります」とのこと。

 このように、あらゆる要素に影響されてオーロラの色が決まるのだ。

オーロラ観測のベストシーズンは?

 アラスカのフェアバンクスを始めとするオーロラベルトの中にある都市は、夏は白夜に近く、6月の夏至前後の日照時間は約20時間。逆に12月の冬至前後は、約20時間闇に包まれている。オーロラ自体は、昼夜を問わず1日中発生しているのだが、肉眼で見ることができるのは夜だけ。当然、冬の時期の方が見える確率が高くなり、ベストシーズンは、11月〜3月となる。

 ロッジオーナーに聞いたところ、「気温0℃かそれ以上の場合、雲が発生し雪や雨が降る可能性があり、オーロラが見える確率もそれに伴い低くなる。マイナス10℃以下になると晴天の日が続くため、オーロラが見える確率がグッと高くなる」とのこと。


取材・文 = 芦刈 いづみ/撮影 = Tak S. Itomi

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2014年10月号掲載