白い店内に大胆な色使いのアート作品が飾られている

白い店内に大胆な色使いのアート作品が飾られている

 ビバリーセンターより少し西側を南北に通るロバートソン・ブルバード。ここは、最新のLAファッション・ブランドやレストランが立ち並び、雑誌やテレビにもしばしば登場するショッピング・ストリート。そのロバートソン・ブルバードをメルローズ・アベニューから北側に行ったエリアは、いつも落ち着いた雰囲気がある。知らなかったらちょっと足を踏み入れにくい隠れ家的なショップやレストランも多い。そんな中に、今回ご紹介するペトロシアン・ウエスト・ハリウッド・レストラン&ブティックがある。ここは、LAでは珍しいキャビアがメインのレストランだ。

 1920年代、ロシアのキャビアを初めてパリに紹介したアメリカ人、ペトロシアン・ブラザーズがキャビア会社を設立。その会社が、1984年、ニューヨークにレストランを出店。そして2001年、満を持してLAに2号店をオープンした。レストランにはブティックが併設されており、ロシア産やカリフォルニア産のキャビアを始め、スモークサーモンやイクラ、チョコレートやティーなども販売している。これらの商品はオンラインでも購入可能だ。

 今回は、日曜日の昼下がりに行ってみた。LAらしく、外のテラス席でランチを楽しむ人たちが多い。かしこまったレストランというよりは、ちょっと高級なカフェといった雰囲気。店内に入るとすぐにショップコーナーがあり、その奥に、白を貴重とした明るいテーブル席が用意されている。

Blinis: ブリニと食べるのが典型的なキャビアのアペタイザー(28ドル/単品)

Blinis: ブリニと食べるのが典型的なキャビアのアペタイザー(28ドル/単品)

 オーダーしたのは、シグネチャー・キャビア・ブランチのコースとトリュフのリゾット。コースは、アペタイザー、メイン、デザート、ドリンクが付いて60ドル。

 アペタイザーには、12グラムのキャビアにそば粉入りのブリニ。ブリニとは、小さなパンケーキのようなもので、その上にサワークリームとキャビアを添えていただくのが一般的。口に含んだ途端、キャビアの塩味と、サワークリームのフレッシュな酸味が広がる。クリームとキャビアのバランスを変えると、色々な味の変化が楽しめる。

Egg Royale: キャビア入りスクランブルエッグ。ポイントはキャビアに合うウォッカを使ったクリーム(14ドル/単品)

Egg Royale: キャビア入りスクランブルエッグ。ポイントはキャビアに合うウォッカを使ったクリーム(14ドル/単品)

 メインは、スモークサーモンのベーグルかキャビア・スクランブルエッグ、スモークトラウトの3品から選ぶことができる。サーモンベーグルにキャビアを加えるとプラス8ドル。せっかくなので、ここはキャビア入りのスクランブルエッグをチョイス。これは、見た目がとても美しい。白いお皿に黄色いスクランブルエッグ。中央には黒いキャビアがトッピングされ、サイドには白いホイップクリームと緑色のチャイブが添えられている。上質のキャビアは、ひと口食べた時に広がる潮の香りが違う。花が咲いたように香りが口の中でふわっと広がり、すぐに花が散るようにふわっと消えていく。まさにその一瞬の潮の香りを楽しむ。その芳醇な香りのスクランブルエッグに強烈なアクセントを加えてくれるのがホイップクリーム。このクリームはウォッカがベースになっているため、口の中で目の覚めるような高度アルコールがスカッと蒸発する。キャビアの潮の香りを一瞬にして、爽やかに消し去る。一旦、口の中の様々な変化を体験してしまうと、また次のひと口が待ち遠しくなる。

Summer Truffle Risotto: サマートリュフをふんだんに使った上質のリゾット(30ドル/単品)

Summer Truffle Risotto: サマートリュフをふんだんに使った上質のリゾット(30ドル/単品)

 コースとは別にブランチのメニューからもう一品オーダーしたのが、トリュフ・リゾット(30ドル)。これは5月〜8月がシーズンのサマートリュフを使っている。こちらも、幾重にも重なる味がして飽きが来ない。シンプルな見た目とは違い、味の広がりが複雑なため、ひと口食べるごとに新しい発見がある料理。グルメにはたまらない季節限定の一品だ。

Vanilla Panna Cotta: エスプレッソビーンズが口の中で弾ける人気の一品(8ドル/単品)

Vanilla Panna Cotta: エスプレッソビーンズが口の中で弾ける人気の一品(8ドル/単品)

 ブランチコースのデザートは、パンナコッタとクリーム・ブリュレからのチョイス。選んだのはパンナコッタ。サーブされたプレートにはパンナコッタと12グラムのキャビア瓶。「ん?デザートにもキャビア?」と思いきや、こちらはキャビアの粒と同じサイズに作られた、エスプレッソビーンズ・ゼリー。キャビア専門店ならではの遊び心のある演出。パンナコッタは甘くて濃厚。エスプレッソビーンズは香りが強く、しっかり苦い。その甘味と苦味のコンビネーションが絶妙で癖になりそうな一品だ。

 明るく落ち着いた空間に上質のサービス、そして丁寧に作り込まれた、シンプルながら多彩な料理の数々。このレストランは、すべてが一流。大切な人やビジネスパートナーを安心して連れて行けるお店だ。

ペトロシアン・ウエスト・ハリウッド・レストラン&ブティック/Petrossian West Hollywood Restaurant and Boutique

ペトロシアン・ウエスト・ハリウッド・レストラン&ブティック/Petrossian West Hollywood Restaurant and Boutique

住所: 321 North Robertson Blvd.
   West Hollywood, CA 90048
Tel: 310-271-6300
時間: 11:00am〜10:00pm(月〜金)
    10:00am〜10:00pm(土)
    10:00am〜4:00pm(日)
Happy Hour: 4:00pm〜7:00pm
       (月〜金)
Web: www.petrossian.com


取材・文=芦刈いづみ/撮影 = Tak S. Itomi

2014年10月号掲載