現在、日系のアパレル会社で働いています。今回、日本のアメリカ大使館にHー1Bビザを取得しに行くのですが、昨年、飲酒運転で捕まってしまいました。裁判所から提示された条件は、すべて消化したのですが、このような経歴があってもHー1Bビザを取得することはできるでしょうか。

 犯罪には、強制送還の対象となる犯罪(Crime Subject to Deportation)と、ならない犯罪があります。強制送還の対象となる犯罪は、すべての重犯罪(Felony)、および一部の軽犯罪(Misdemeanor)です。軽犯罪の中で強制送還の対象となるものは、Domestic Violenceと、道徳に反する犯罪(Crime Involving Moral Turpitude)の2つです。Domestic Violenceとは、夫婦(離婚した後の前夫・妻を含む)間、あるいは恋人間の暴力行為を指します。また道徳に反する犯罪(Crime Involving Moral Turpitude)には、麻薬に関する犯罪(Controlled Substances)、詐欺(Fraud)、窃盗(Theft)、および暴力に関する犯罪(Crime of Violence)などが含まれます。また最近では、2010年1月14日の移民局裁判所の判決により、不当に入手したソーシャル・セキュリティー番号を用いて就労した場合も、強制送還の対象となると定められました。

 飲酒運転自体は強制送還の対象になる犯罪には含まれませんが、飲酒運転で逮捕・有罪歴が何回あるか、また、どのような状況下で捕まったかが問題となります。例えば、飲酒運転であっても4回以上は重犯罪(Felony)となります。飲酒運転は捕まってから10年以内(以前は7年間でしたが、2005年1月1日より10年に変更)に再犯すると前歴に加算されます。ここで注意しないといけないことは、加算された時から10年以内に再び捕まると、10年以上前の前歴も追加されて加算されるという点です。例えば1回目に飲酒運転で捕まった後、9年後に捕まると、それは2回目となり、その時から数えて9年後に捕まった場合は(1回目と3回目の間は18年間ありますが)、3回目として計算されるということです。従って、この計算方法により合計4回の飲酒運転になると、強制送還の対象になるということです。また、2回目でも3回目でも事故を起こしているような場合は、強制送還の対象となる可能性があります。

 ただし、あなたの飲酒運転が1回だけで、それが強制送還の対象となる犯罪に含まれないからと言って、まったく問題にならないというわけではありません。日本のアメリカ大使館にインタビューに行った際に、この記録は出てきます。また、申請書類にも今まで犯罪を犯したり逮捕されたことがあるか否かの質問が記されています。この際、如何なる軽犯罪の記録であっても、それを問題とする場合がほとんどであり、その犯罪がどの種のものであったかを証明するのは、申請者側の責任としています。従って、あなたの犯罪記録が飲酒運転であり、その他の犯罪ではないことを証明しなければならないということです。これには、飲酒運転を処理した裁判所からの書類、Police Report、Complaint、Minutes (Probation)Order、Docket Reportsなどを入手しておかれることを強くおすすめします。またDocket Reportsは、あなたが最終判決の条件として与えられた内容(アルコールスクール、罰金の支払いなど)をすべて遂行したことの証明となるのでとても重要です。あなたが判決を受けた裁判所に行って手続きをすれば入手できますので、そこでDocket ReportsのCertified Copyの発行を依頼してください。これらの書類を、アメリカ大使館でのインタビュー時に持参してください。

 飲酒運転の逮捕歴がある人がビザを取得する場合、大使館指定の診療所に出向き、ドクターのカウンセリング(診断)を受け、その証明をアメリカ大使館に提出することによりビザが発行されます。従って通常よりも手続きに時間がかかることが容易に予想されますので、日本での滞在期間を長く予定しておいた方が良いでしょう。通常のビザ発行には、2〜3営業日ほどで発給されますが、特にこのような場合には、最短で1週間、最長で1カ月程度の日数を見込んでおくことをおすすめします。


2014年10月号掲載