白い壁と天井の高いオープンな空間

白い壁と天井の高いオープンな空間

 アメリカの古い町並みが残るパサデナのオールドタウン。その中心部コロラド・ブルバードに、フランスの老舗料理学校ル・コルドン・ブルーが運営するスクールとレストランがある。ル・コルドン・ブルーは1895年に創立され、現在は世界17カ国30校あまりに広がっている。アメリカには12校あり、パサデナ校だけが、一般向けのレストランとカフェを併設している。

 レストランは、生徒の勉強の成果を披露する場所として提供されているが、学生が作る料理だからといってあなどることなかれ。ここは、学生にとっては発表の場。良い素材を使った料理を、惜しみなく、そしてリーズナブルな料金で提供している。もちろん、料理はプロの先生による指導の下に作られているのでクオリティが高い。チップを払う義務はないが、奨学金のためのドネーションが15%、料金に上乗せされる。

 真っ白い建物に、ル・コルドン・ブルーのシグネチャーカラーであるブルーのサインが際立つ。スクールらしいフレッシュさと躍動感、そして高級感さえ感じさせる。コルドン・ブルーとは、フランス語で青いリボンの意味で、校章にも青いリボンが描かれている。なんとこのレストラン、キッチンはガラス張りでストリートから覗くことができる。

 メニューは、約3カ月毎(授業の学期毎)に変わるそうだが、いつ変わるという正式な決まりはなく、次回の変更は11月後半か12月を予定しているとのこと。

Tuna Bowl: 見た目が何とも美しい(8ドル)

Tuna Bowl: 見た目が何とも美しい(8ドル)

 アペタイザーは、シーフードの中からTuna Bowl(8ドル)をチョイス。大きな白い皿の真ん中に綺麗にデコレーションされたビンチョウマグロとビーツキムチのミルフィーユ。その上からクリスピーライスと卵黄のソース、そして乾燥わかめがトッピングされている。料理の周りに飾られたオリーブオイルの緑もとても美しく、お皿も冷たく冷やしてあり、予想以上にクオリティが高い。ビンチョウマグロの食感にカリカリのクリスピーライスと乾燥ワカメがアクセントを加える。ビーツキムチは、大根キムチのカクテキに食感は似ているがもう少し柔らかさがあり、卵黄ソースとキムチの辛味が、ビンチョウマグロと調和しさっぱりといただける。

Surf & Turf: デコレーションと食材の選び方が斬新(20ドル)

Surf & Turf: デコレーションと食材の選び方が斬新(20ドル)

 メインは、シーフードと肉料理が一緒になったSurf & Turf(20ドル)をチョイス。チリ産のシーバスとヒレステーキのプレートで、付け合せにタピオカとパールオニオンが添えられていた。プレートを見て、その斬新なデコレーションに驚く。お皿の片方に花びらのように交互に並べられた白いシーバスと赤いヒレ肉。その周りには、まるで海岸の丸石、あるいは日本庭園のように敷き詰められた黒くピカピカのタピオカ。そして料理の上にはカラフルな花びらがトッピングされている。ヒレ肉にタピオカという大胆な組み合わせと、その見た目の美しさには、溢れだすクリエイティビティを感じずにはいられない。肉はとても柔らかく、中は完璧なミディアムレア。対するシーバスは、しっかりとした歯ごたえがある。そしてタピオカは甘辛く味付けされ、固形ソースのような役割を果たしている。

Fideo Negro: パスタの中央にタコの足1本という大胆な盛り付け(15ドル)

Fideo Negro: パスタの中央にタコの足1本という大胆な盛り付け(15ドル)

 メインのもう1品はFideo Negro(15ドル)をオーダー。Fideoとは、スペイン語で「ヌードル」、Negroとは「黒い」という意味なので、直訳すると黒いヌードル、つまりイカスミパスタのことを指す。この料理も、デコレーションへのこだわりがまず目に止まる。真っ黒なイカスミパスタと、真っ白なクリームソースの対比の上にグリルしたタコと鮮やかなグリーンがあしらわれている。イカスミ独特のコクを存分に味わえ、見た目も楽しめる一品だ。

Hot Stuff Chocolate Cake: はビターなチョコレートケーキにココナッツ・ジェラートの組み合わせが大人の味(6ドル)

Hot Stuff Chocolate Cake: はビターなチョコレートケーキにココナッツ・ジェラートの組み合わせが大人の味(6ドル)

 デザートは、Hot Stuff Chocolate Cake(6ドル)。温かいチョコレートソースが、ケーキの中から溶け出し、それをココナッツ・ジェラートに絡ませていただく。ここまでは、普通のチョコレートケーキだが、アクセントとして添えられたジンジャー・オレンジソースが素晴らしい役割を果たす。このソースが、絶妙な爽やかさとハーブのような香りを口の中に運び、後味がとてもスッキリとしたものになる。

 すべての料理に共通するのは、見て楽しむサプライズ、食してさらにサプライズがあるということ。普段別の方法で食べている食材を活かして違う料理に適応させ、素材の美味しさを際立たせている。これもクリエイティビティが成せる技。エッジの効いたチャレンジングな料理が、リーズナブルな料金でいただける、何とも良質なレストランだ。

テクニック・レストラン/Technique Restaurant

テクニック・レストラン/Technique Restaurant

住所: 525 East Colorado Blvd.
   Pasadena, CA 91101
Tel: 626-229-1377
時間: 7:00am〜8:00pm
    (3:00pm〜5:00pmはクローズ)
Web: www.techniquerestaurant.com


取材・文=芦刈いづみ/撮影 = Tak S. Itomi

2014年11月号掲載