労働時間の定義について

 昨年12月、最高裁判所は、倉庫などで勤務している従業員が勤務終了の際にセキュリティー・チェックを行う時間は、勤務時間とはみなさないという判決を下しました。これは、以前の第九巡回控訴裁判所の判決を覆す結果となりました。

 訴えを起こした従業員らは、アマゾンの倉庫で時給契約で勤務していました。彼らは注文された商品を梱包する作業が主な業務内容で、従業員は勤務終了後、倉庫から商品を持ち出そうとしていないかを確認するために一人ずつセキュリティー・チェックを通ることが義務付けられていました。セキュリティー・チェックのプロセスとは、ベルトを外し、ポケットの中から鍵や携帯電話などを取り出してから、金属探知機を通るというものでした。列が長い時は毎日25分ほどかかったといいます。

 従業員たちは、この時間も「労働時間」であると主張し、給料が支払われる権利があると集団訴訟を起こしました。連邦裁判所では、セキュリティー・チェックにかかる時間は労働時間ではないと判断し、訴えは却下されましたが、第九巡回控訴裁判所では一転して労働時間と判断されました。

 雇用主は第九巡回控訴裁判所の判決に控訴し、最高裁判所は連邦平等労働基準法(Federal Fair Labor Standards Act)の拘束時間法(Portal-to-Portal Act)を引用し、労働時間ではないと最終判断が下されました。Portal-to-Portal Actは、何をもって「労働」とみなすかを説明し、その中で、①仕事場に着くまでの通勤時間と②実際仕事を行うための準備と仕事後の作業は、「労働」とはみなされないと規定しています。

 最高裁判所は、従業員はセキュリティー・チェックを通るために雇用されていない上、セキュリティー・チェックは、雇用された目的(この場合はアマゾンの商品を梱包する仕事)を果たすのに必要ではないため、労働のうちには入らないと判断しました。ただし、雇用された目的を果たすための作業に必要とされる場合、例えば業務を行うのに、防護服の着用が義務付けられているような際は、これを着るのにかかる時間は労働とみなされます。

 具体的にどのようなケースが「労働」に含まれるかの判断は、弁護士に相談されることをおすすめします。


2015年1月号掲載