私は、アメリカ人の夫と1年半程前に入籍しました。すぐに永住権を申請してくれるとのことでしたが、なかなか協力を得られず、今に至っています。さらに、結婚直後より夫の暴力がひどく、耐えかねています。しかし、離婚するとアメリカには残ることができないようです。また、主人の許可なく子供を日本に連れ帰ることは法律で禁止されているようなので、どうすればいいのか困っています。何か良い方法はありますか。

 あなたの場合、Battered Spouseのカテゴリーで永住権の申請を行う手段が妥当だと考えられます。これは、暴力を加えられているにも関わらず、アメリカに滞在したいがために、我慢しようと試みる外国人配偶者の救済処置として、1994年にViolence Against Women Act(VAWA)に基づき規定されたものです。

 手続きとしては、まず申請書I-360を移民局に提出し、その申請が認可された後、I-485を提出することになります。この手続きは、長期間かかることも多々ありますが、I-485を提出した後は、約3カ月で就労許可を得ることができますので、合法的にアメリカに滞在し、その間就労を行うことも可能になります。

 この申請には、まず、あなたの配偶者がアメリカ市民であることを証明しなければなりません。これには、あなたのご主人の出生証明、あるいはパスポートのコピーが必要になります。次に、当然のことですが、あなた、または子供に対して暴力行為があった事実を立証する必要があります。この暴力は(一部の例外を除いて)、口頭によるものではなく、物理的な暴力があったことを証明する必要があります。この場合は、あなた自身の宣誓供述書に加えて、警察、医師、カウンセラーやシェルターからのレポートなどがその有力な証拠になります。例えば、裁判所から接近禁止命令(Restraining Order)が発令されている場合も、有力な証拠として扱われます。併ねて、目撃者や事情を知っている人からの宣誓供述書や怪我の写真なども同様です。

 また、当該婚姻が正当な理由(永住権の取得目的でないこと)に基づいて行われたものであり、あなたとご主人が同居していた事実を証明する必要があります。これには、結婚あるいは交際していた時の写真、共同名義の銀行口座、健康保険、自動車保険、生命保険、同一の住所に送られている2人の宛名入りの郵便物、結婚前後のラブレターや各種カード、結婚前に頻繁に連絡を取り合っていたことを証明する電話の請求書などを揃えて提出すると良いでしょう。

 さらに、米国を離れてしまうことが、申請者にとって過度に困難な状況を引き起こすことになることも立証する必要があります。あなたの場合、子供がいることもこの理由に該当すると考えられます。もし、あなたが(例え今回の結婚以前であっても)これまでにアメリカで長期間生活をしていたのであれば、これも理由の1つと認められます。

 永住権申請後に、離婚の手続きを行っても、申請手続きに影響することはありません。また、特別な条件を満たせば、申請より以前に暴力を振るった配偶者と仮に死別、あるいは離婚していたとしても、離婚成立後2年以内であれば申請を行うことは可能です。

 また、同じ状況下にある男性であってもVAWAに基づいて規定されている手続き方法ですので、同様に申請を行うことが可能です。さらに、配偶者がアメリカ市民ではなく、永住権保持者の場合であっても、この規定が適用されます。

 この申請では、申請時においてあなたが合法的なステータスでアメリカに滞在している必要はありません。さらに、仮にあなたが強制送還の手続きに入っていたとしても、この手続きを行うことにより、当該強制送還の手続きを停止させることができる可能性も充分にあり得ます。

 VAWAに基づいた申請手続きの場合、ほとんどの場合が面接を受けることになりますので、面接時においてあなた自身が暴力を受けた内容をしっかりと説明できるよう準備して臨まれることをおすすめします。


2015年1月号掲載