リトル・サイゴンで1、2を争う人気レストラン

リトル・サイゴンで1、2を争う人気レストラン

 オレンジカウンティのフリーウェイCA―22とI―405に囲まれたウエストミンスターはリトルサイゴンと呼ばれるエリアで、世界最大のベトナミーズ・タウン。今回はその中でも1、2を争う、ロブスターが有名なチャイニーズレストラン「キム・スー・シーフード」を紹介しよう。家族経営のこのレストランは、1983年のオープン以来、オーナーはもちろん、シェフやスタッフまでメンバーがほとんど入れ替わっていないという昔ながらのレストランだ。

 開業して10年後の1993年に、客足の多さにスペースが足りなくなり現在の店舗に移転したそうだ。オープン以来32年、長年の馴染み客も多く、「最近どう?」「子供さん、大きくなったね」「今日は忙しいね」など、日頃からスタッフとお客さんのコミュニケーションが盛んだ。その会話からは、数多くのお客さんが、誕生日や記念日など様々な場面でこのレストランを利用してきたことが伺える。

ここに来たらまずはこれを食べないと始まらないGolden Lion Lobster(Seasonal Price)

ここに来たらまずはこれを食べないと始まらないGolden Lion Lobster(Seasonal Price)

 今回は、このレストランを贔屓にしている友人と一緒に来店、おすすめのメニューを教えてもらった。この店のシグネチャーメニューは、何といってもGolden Lion Lobster(Seasonal Price)。マーケットプライスにも関わらずほとんどの人がオーダーをするという程の人気メニュー。ロブスターは、本場メイン州から週3〜4回空輸され、店内の生簀に移される。オーダーすると、サイズ確認のために活きたままをテーブルに運んで来てくれる。今回は、4人で4パウンド強(72.80ドル)のロブスターをオーダー。約10分後、ロブスターが調理されてテーブルの上に再登場。大きなお皿を埋め尽くす真っ赤なボディーの下にはロブスターの出汁が染み込んだ麺がどんと乗った豪快な一品だ。こんなに大きなロブスターを食べきれるかなと思いながらも、熱々の大きな身を口いっぱいに頬張ると、「The Best Lobster Ever!」と思わず叫んでしまう程の美味しさ。プリプリと弾けるような身は新鮮な食材を使っている証拠だ。噛めば噛む程にロブスターの濃厚な味が染み出てくる。食欲をそそるピリ辛の味付けで、止めどなく手が伸びてしまう。ロブスターはメスをオーダーするのがポイント。ぎゅっと引き締まった真っ赤な卵は、身の豪快な味とはまた違うコクを加える。そしてロブスターの下に隠れた太めの麺も、主役に引けを取らない絶妙な味付けだ。

Steam Rock Coad Fish(Seasonal Price)はシンプルな味付けが、ロックコッドの味を最大限に引き出している

Steam Rock Coad Fish(Seasonal Price)はシンプルな味付けが、ロックコッドの味を最大限に引き出している

 次にオーダーしたのは、この日珍しく入荷されているというロックコッド(Steam Rock Coad Fish: Seasonal Price)。ロックコッドとは、白身魚でメバルの一種。スチームされた魚を生姜とお醤油ベースの甘辛ソースでいただく。あっさりとしたシンプルな料理だからこそ素材の味が引き立つ。新鮮な魚の身は、瑞々しく、口の中でとろけるように味が広がる。

French Style Diced Beef Steak(12.95ドル)は必ずオーダーしたい一品

French Style Diced Beef Steak(12.95ドル)は必ずオーダーしたい一品

 もう1品は、French Style Diced Beef Steak(12.95ドル)をオーダー。フレンチスタイル?ビーフステーキ?と疑問に思うかもしれないが、かつてフランス領だったベトナムには、フランスの影響を受けた料理がたくさん残っており、これもその1つ。ヒレステーキを独特の甘辛ソースで絡めたもので、レモン塩でいただく。歴史を感じさせる一品だ。柔らかく、さっと噛み切れるヒレステーキを使っているのも、このお店の特徴。

 デザートにはタピオカ入りココナッツミルクが全員にサーブされる。このお店では一口サイズの黄色いヤムイモを加えてひと味プラスしている。ココナッツミルクとヤムイモのほのかな甘さは、それまでの豪快な料理の締め括りに相応しく、満腹なお腹を優しく落ち着かせてくれる。

オーダーすると活きたまま運ばれて来るロブスター

オーダーすると活きたまま運ばれて来るロブスター

 新鮮な素材を活かし、丁寧に調理するのは腕利きのシェフがいるレストランの証拠だ。また、料理のクオリティーはもちろんのこと、同様に大切なのは一緒に過ごす人たちとの時間。昔ながらのシェフの味といつもフレンドリーなスタッフのサービスがそれを演出し、多くのお客さんの思い出がここで生まれたのだろう。この夜もまた、1つの思い出がこのレストランの歴史に刻まれた。家族や友達との大切な記念日をここで過ごしたい。とっておきのレストランだ。

Kim Su Seafood Restaurant/キム・スー・シーフード・レストラン

Kim Su Seafood Restaurant/キム・スー・シーフード・レストラン

住所: 10530 Bolsa Ave., Westminster, CA 92683
Tel: 714-554-6261
時間: 9:00am〜21:30pm(月〜金)
    9:00am〜22:00pm(土、日)


取材・文=芦刈いづみ/撮影 = Tak S. Itomi

2015年2月号掲載