現在、私はOPTにて日系の会社で働いています。2015年のH-1Bの申請を検討していますが、その際の注意点について詳しく教えてください。

 H-1Bビザは専門職ビザと言われるものですが、H-1Bの申請を行うには、申請者が4年制大学を卒業しているか、それに相当する職務経験がある、または職務内容が、4年制大学を卒業しているかそれに相当する職務経験がないとできないほど複雑かつ専門的であること、4年制大学、あるいはそれに相当する職務経験で学んだことを活かすことができる職務である必要があります。移民法上の解釈における「専門職」とは、高度で特別な知識の理論的、加えて実質的な適用、応用が要求される職種です。例えば、建築、エンジニアリング、数学、物理学、社会学、医療関係、ビジネス関係、会計、法律、技術などの分野であり、またその職種に就くにはアメリカにおいて通常、学士号、あるいはそれ以上の学歴やそれ相応の経験が必要とされる職種を指します。具体的な職種としては、会計士、経営コンサルタント、コンピューター・エンジニア、建築家、翻訳家などがあります。これらの職種を遂行するにあたって必要とされる学歴あるいは職歴(コンピューター・エンジニアであればコンピューター・サイエンス)を保持し、スポンサーとなる会社でその職種を必要とされているのであれば、H-1Bビザの取得が可能です。

 ここで、問題となるのは、移民局の会計年度内に発行されるH-1Bの数に限りがあることです。移民局の会計年度は、毎年10月に始まり翌年の9月に終わりますが、この間の発行数が6万5000に限られており、アメリカで修士号を取得している場合は、これ以外に2万の枠が設定されています。また、6万5000の数には、チリおよびシンガポールの自由貿易条約の優遇措置のための6800の枠が設置されているため、実際には、5万8200の枠となります。例えば、今年度(2014年10月から2015年9月まで)の受付が2014年の4月1日に開始されましたが、4月7日には締め切られています。これは、実際に7日間で定員に達したということではなく、移民局は、最初の5日間に受け取った申請書は、初日に受け取ったものとみなすと規定しており、さらに、5日が土曜日、6日が日曜日でしたので、実際には、初日で定員に達していたものと考えるのが妥当です。定員を超えた場合は、抽選が行われ、この抽選に外れると申請書自体が返却されることになり、審査の対象にもなりません。この年の抽選に選ばれた確立はおおよそ2.5倍でした。

 過去においては、2008年度および2009年度では、申請者がこの規定の枠を遥かに超えてしまったため(2008年が約2倍、2009年度が約3倍)、抽選が行われましたが、2010年度より、不況のため、抽選、サイト・インスペクション(移民局が予告なしで会社を視察すること)を恐れて企業側がH-1B対象者の雇用を控えた経緯もあり、申請者の数が減少しました。しかしながら、景気の回復と共に、申請者の数は再び増加傾向になり、結果的に前年度のような厳しい抽選が行われることになりました。次年度(2015年10月から2016年9月の枠)の受付は、今年4月1日から行われますが、景気が上昇している状況からして、移民局が発行数の増加をしない限り、さらに厳しい抽選が行われることが容易に予想されます。

 したがって、今年のH-1Bの申請を検討されているのであれば、出来る限り早い時期に準備を進めると共に、抽選に漏れた場合にはどのように対処するかも併せて考えておくことをおすすめします。

 ただし、H-1Bの延長、雇用主の変更の申請、および過去にH-1Bを取得し、最高延長期間である6年の残った期間を使い申請する場合は、この数の対象とはなり得ません。さらに、H-1Bを取得した後は、先述したようにサイト・インスペクションが行われる可能性が高いため、その対応も想定しておくと良いでしょう。サイト・インスペクションは、一般的に、当該従業員だけでなく、雇用主側にも質問が行われますので、雇用主側では、誰が質問の応答を行うのかを決めておき、その方は、申請内容を把握しておく必要があります。


2015年2月号掲載