個人より発信されているアイデア商品やサービス

個人より発信されているアイデア商品やサービス

 インターネットの普及により、かつてない新しいタイプのビジネスモデルが登場している。

 特に、フェイスブックやツイッターなど、今では私たちの生活に欠かせないツールとなっているSNSでは、個人発信という特性を生かし、アートやアイデア商品を低コストで世界に紹介することができる。また、商品の製造資産などを募る“クラウドファンディング”【群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語】のサイトでもこれまでは商品化が難しかったタイプのアイデア商品が消費者の意思などによって製造されるようになった。

 食の分野では、健康意識がどんどん高まっている。様々なプラントの抽出液を配合したナチュラルなウォーターやハードサイダーなどのドリンク類が人気だ。

 “カスタムメイド”もアメリカの得意とするところだが、スターバックスが始めたレストランも、客のチョイスに従ってカスタムメイドできるハンバーガーを提供し、話題を呼んでいる。

 これらに共通する傾向としては、個人より発信されている、またはこだわりのある個人に対して提供されているといった、より“個”が浮かび上がるトレンドであるということ。

 今季、特に注目されているアイデア商品やサービスについて紹介していこう。

neuro:on|睡眠をモニタリング。完璧にマネジメントするアイマスク

neuro:on|睡眠をモニタリング。完璧にマネジメントするアイマスク

EEG(脳波記録)で脳波を、EMG(筋電図)で筋肉の緊張を、EOG(眼電図)で眼球の動きをモニタリングして、効率的な睡眠をもたらす

 
睡眠をコントロールすることができる?夢のようなアイマスク「neuro:on」が登場した。このアイマスクには睡眠コントロールマシンが搭載されており、睡眠中の脳波や筋肉の緊張、眼球の動きをモニタリング。使用者が眠りの浅い“レム睡眠”に入ったところで少しずつ目覚めさせてくれる。これにより「多相睡眠」が可能になるというものだ。

 人間は毎日、夜から朝にかけてまとめて眠る「単相睡眠」という睡眠サイクルを持っているが、本来の自然な眠りとは、1日に複数回の睡眠をとる「多相睡眠」だと言われている。さて、聞き慣れないこの睡眠方法だが、実は30分睡眠を1日4回ほど繰り返すことで1日中活動するために十分なエネルギーを得ることができるというもの。合計2時間の睡眠時間で8時間分の睡眠と同じ効果が得られるそうだ。この多層睡眠は短い睡眠時間でより質の良い睡眠を実現するため、1日の合計睡眠時間を劇的に縮めることができるという。

neuro:on|次世代テクノロジーを駆使。時差ボケも解消 

neuro:on|次世代テクノロジーを駆使。時差ボケも解消 

(左)モバイルアプリとの連動も可能で、自分の睡眠データをより細かく分析することができる
(右)形状記憶フォームでできており、付け心地は普通のアイマスクと同じだという。電源は充電式バッテリーで、最大で10日間保つそうだ

 
この未来形アイマスクの効果はこれだけではない。レム睡眠後に目覚めることのできるスマートアラームクロック、昼寝マネージャー、時差調節、明晰夢誘導などの機能も兼ね備えている。さらに、スマートフォンのアプリとの連携で睡眠の分析データを確認し、インテリジェントアルゴリズムによって個人の睡眠パターンを計算。自分に合った睡眠パターンや睡眠時間を設定することも可能だ。さらには旅先を入力するだけで眠るタイミングと必要睡眠時間を教えてくれる「時差アプリ」まで。アプリ、本体、カレンダーと同期させることで、フライトで混乱した睡眠スケジュールを管理。時差ボケを徹底的に抑えてくれる。

 世界初の睡眠コントロールシステムを備えたこのアイマスクを開発したのは、ポートランドのスタートアップ企業「IntelClinic」で、2013年12月にパリで開催された国際的なスタートアップの祭典「LeWeb」で見事優勝を果たしている。インターネットを使って個人などから資金を募りプロジェクトを遂行させる「キックスターター」を使って支援を募ったところ、わずか1日で目標額の10万ドルをクリアするなど、その注目度の高さが伺える。現在ウェブサイトからプレオーダーを受け付けており、配送開始は今秋を見込んでいる。

neuro:on

neuro:on

neuro:onを開発したのはポートランドの医学生Kamil Adamczyk氏

住所: 180 Sansome St., San Francisco
Email: contact@neuroon.com
Web: www.neuroon.com

蛍光アート|暗闇に光る神秘的な作品

蛍光アート|暗闇に光る神秘的な作品

上段の写真のように、2人のモデルの背中を一つのキャンバスにして描くこともあるという。絵のモチーフはモデルから提案して来ることが多い。描くのにかかる時間は4時間前後。下段の写真のように、モデルに横になってもらい、横長の絵を描くこともある。絵を水面に反射させて写真を撮影すると、神秘性もより高まり、まるで1枚の絵のよう

 “蛍光アート”と呼ばれる、幻想的でミステリアスなボディ・ペインティングがアメリカで注目されている。何と、キャンバスになるのは人の裸の背中だというから驚きだ。ブラック・ライト(不可視光線)の下、背中に蛍光塗料でペイントを施し、それを写真で撮影、最後にデジタル処理を施して完成させるアートだ。

 蛍光アートを始めたのは、ユタ州ソルトレイクシティ郊外に住む写真家のジョン・ポップルトン氏。「元々ウェディング・フォトグラファーだったですが、訪ねた友人のコンサートで、ブラック・ライトが使われていたんです。楽器に蛍光塗料が塗られ、それが、暗闇の中でライトアップされたのを見て、人にも応用できると考えました」と蛍光アートを始めたきっかけについて語る。

 描くのは、山やパームツリー、滝、星などの風景画が中心。しかし、ブラック・ライトの下、意図した適切なカラーを発色するのは容易ではなかった。

 「1ダースくらいのメインカラーがありますが、ミックスしても、絵の具を使った時に通常出るような色が、ブラック・ライトという特殊な光線の下では、なかなか発色しないのです。例えば、レッド、グリーン、ブルーを混ぜると、通常は黒に近い色になりますが、ブラック・ライトを当てると、ほとんど白に見えるのです。経験に経験を重ねて、今では、どの色を使えば、ブラック・ライト下ではどんな色が発色するかがわかってきました」。

蛍光アート|フェイスブックをきっかけに大ブレイク

蛍光アート|フェイスブックをきっかけに大ブレイク

(左)描くモチーフは、森、山、滝、木々、動物、星空など自然が中心。ブラック・ライトの下で、意図した色を表現するのに苦労したという。例えば、レッド、グリーン、ブルーを混ぜると白になる
(右)まるで水墨画を彷彿させる出来栄え。将来は、浮世絵のような微妙な色合いの絵も挑戦してみたいという。絵も写真も、独学で学んだとは思えない高い完成度だ

 
当初は、身近にいる友人を中心に蛍光アートを描いていたポップルトン氏だったが、そのアートは昨年5月にブレイク。世界的に著名なボディペインターのクレッグ・トレーシー氏が、フェイスブックで蛍光アートを紹介したのがきっかけだった。一晩のうちに、ポップルトン氏には多数のファンがつき、全米から、蛍光アートの依頼が殺到するようになった。現在は、週に6人のペースで、各地から訪れる人たちに蛍光アートを描いている。将来は、浮世絵のような蛍光アートも描いてみたいという。

 一昨年は年収8千ドルしかなかったポップルトン氏だが、今年は全米ツアーを回り、一人2500ドルでボディペイントすることで、年収25万ドルを見込んでいるという。アメリカンドリームは斬新さがあるところに今も健在である。

Poppleton Portraits

住所: 16 South 100 East Wellsville, UT
Tel: 435-245-6040
Email: sunkistphoto@yahoo.com
Web: www.poppletonportraits.com


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2015年4月号掲載