先月号の記事で永住権のスポンサーである配偶者が、手続きを完了するまでに死亡した場合であっても、永住権の取得が可能であるという記事を読みました。私の場合、米国市民権保持者である父がスポンサーとなって、永住権の申請中ですが、次の段階の申請の順番待ちの間に、他界してしまいました。スポンサーが配偶者でない場合も同様に、永住権の取得が可能でしょうか。ちなみに私には、妻と8歳の子供がいます。

 あなたの場合は、先月号で説明させていただいた救済法(I―751、あるいは、I―360による申請方法)の適用はありませんが、他の法律の適用を受けることにより、あなただけでなく、あなたの妻子も含め申請が可能です。

 この規定は、これから説明します以下のすべての条件を満たしていれば必ず認められるわけではなく、行政裁量により認可されるものとされています。移民局は、公共の福祉の見地から鑑みて、当該申請者に永住権を与えるメリットがデメリットよりも大きいと判断した場合にのみ、認可しています。ただ、実際、この規定は、この国に居住することを希望している人々を助けることを、その本来の目的としているため、強制送還の対象となる犯罪を犯しているなどの特別な理由がない限り、申請者のコントロールできる範囲を超えて起きた親族の他界という事実の存在自体が、永住権を認可するに足る大きなメリットであると解釈されています。

 そこで、まず、第一の条件は、あなたの父親が亡くなった時に、あなたが米国に居住しており、また、現在に至るまで、居住し続けていることです。この条件は、仮に父親が死亡した時点で、あなたが米国に居住していなかったとしても、あなたの妻、あるいは子供が米国に居住しており、現在に至るまで居住し続けていれば、あなたも含めて申請が可能です。

 次に、あなたの父親が亡くなられた時点で、当該申請が審査中である、あるいは、認可されているということです。あなたの場合、最初にI―360という申請書を提出されているはずですので、このI―360の申請が、父親が亡くなられた時点で、手続き中、あるいは、認可されていて、順番待ちの状態にあれば、この条件を満たしていることになります。

 申請には、(⑧を除く)特に決められた書式はありませんが、以下の情報・書類が必要になります。

①申請者の名前、父親の名前、妻、子供の名前
②本人のAlien Registration Number(あなたの場合は、現段階ではないはずです)
③父親のAlien Registration Number (父親は、米国市民なのでないことになります)
④妻子のAlien Registration Number(あなたの場合と同様、現段階ではないはずです)
⑤④の申請書の Receipt Number
⑥父親の死亡証明書
⑦あなた(あるいは、妻子)が父親の死亡時に米国に居住しており、その後も居住し続けている証明(例:アパートの賃貸借契約書、光熱費の請求書、給与明細、在学証明書、成績証明書、銀行のステートメント等)
⑧扶養宣誓供述書(I―864)

 この書類は、父親に代わって、永住権のスポンサーとなる人が、公証人(Notary Public)の前で署名する必要があります。

 このI―864に署名できるのは、米国市民、あるいは、永住権保持者であること、18歳以上であること、また、あなたの配偶者、両親、義父母、兄弟、姉妹、子供、義理の子供、祖母、祖父、孫などが、法的後見人になります。あなたの場合、妻子は、米国市民でも、永住権保持者でもないので、それ以外の上記の人の中から選び、その人に依頼する必要があります(例:あなたの母親、もしくは兄弟姉妹)。

 また、上記の方法は、あなたのように家族申請の場合に限らず、雇用を通しての永住権申請にも適用されるとされています。例えば、ある会社がスポンサーとなり、永住権を申請している間に、その主たる申請者が死亡した場合であっても、本来、死亡していなければ、扶養家族として同じく永住権を取得できていたはずの申請者の配偶者および、21歳未満の子供がこの救済法の適用を受けることができるのです。


2015年8月号掲載