私は現在、H−1Bである日系IT関連会社で働いています。最近、永住権の取得が非常に早くなったと聞きましたが、今から申請を行うとどれくらいの期間で取得が可能になりますか?

 今から申請を行うと、どれくらいの期間で取得できるかということを正確に予想することは難しいですが、現在取得されている人たちの傾向で言うと、約2年〜3年で取得されており、過去にもかなり稀なほど短期間で手続きが終了しています。例えば、2013年の3月辺りに取得された人は、手続きに約6年を要していました。そこで、永住権の手続きがなぜ、申請の時期によって取得までの期間がそれぞれに異なるのかを説明します。

雇用を通して永住権を取得するプロセスは5つに分けられます。

❶規定の給与設定
 その役職、および就労を行う地域においてEED(労働局)が妥当だと判断する給与を決定するプロセスのことを指します。現実的には、平均給与よりもやや高めの給与額が提示されるのが一般的です。このプロセスには、現在、1カ月半〜2カ月程度を要しています。

❷人材募集広告
 給与設定のプロセス終了後に、人材募集広告を約1カ月行った後、その募集に対する応募者の反応を見るため、さらに1カ月待ちます。

❸Labor Certificationの取得
 Labor Certificationのプロセスが、最近では以前に比べてかなり遅れ気味になっており、質問状(Audit)の来なかったケースでも、Labor Certificationの取得に約6〜10カ月を要しています。また、Auditを受けたケースでは、Auditのプロセスだけで約1年を要しています。従って、Auditに掛かるかどうかで、手続きに1年間もの差が生じることになります。このAuditには、約半分のケースが掛かることになります。冒頭で永住権の手続きに約2〜3年と前述しましたが、この場合だと、厳密には約2年、あるいは約3年を要することになるという表現が的確だと言えるでしょう。

❹I−140の審査
 この審査は、スポンサーである会社が、労働局の定める給与設定に対しての支払い能力があるかどうかなどが、主な審査の対象となります。

❺I−485
 最後のプロセスである、I−485またはConsular Processingの審査を残すのみとなります。従来はここで、Priority Dateが問題になりました。このような就労を通しての永住権申請のプロセスでは、カテゴリーが、EB−2とEB−3の2つに分けられます。EB−2は、修士号(Master)を持っているか、あるいは、学士号(Bachelor)+5年の職務経験者。EB−3は、学士号を持っているか、あるいは、2年の職務経験者が、その対象となります。  本来、EB−2に該当する人は、(一部の例外を除く)Priority Dateに左右されることはありませんが、EB−3のカテゴリーに該当する申請者は、Priority Dateが廻ってくるまで、I−485の申請を待たなければなりません。これらのPriority Dateは、オンラインにて月に1度発表され、毎月変更されます。 (http://travel.state.gov/visa/bulletin/bulletin_1360.html)
具体例で言うと、2013年3月のPriority Dateの場合、EB−2のカテゴリーでは、C(=currentの略で待たなくて良いという意味)であるのに対して、EB−3のカテゴリーでは、2007年5月1日となっています。すなわち、2013年3月の時点では、EB−2のカテゴリーに含まれる申請者は、すぐにI−485が申請できるのに対して、EB−3のカテゴリーに含まれる申請者は、6年間待機していたことになります。

 では、現在のPriority Dateを見ると、EB−2のカテゴリーでは、同じくCの状態で、EB−3のカテゴリーでも、2015年8月15日となっていて1カ月未満の待ち状況です。実際には、ここまでの手続きに、少なくとも1年弱は要することになるので、EB−3および、EB−2の申請者も一様に待つ必要がなくなっていることになります。従って、EB−2および、EB−3のカテゴリーにおける申請も、冒頭に述べた通り、約2年、あるいは約3年で永住権が取得できているのが現状です。


2015年9月号掲載