大切なのは一貫性

大切なのは一貫性

 幼児期の生活の中でも大切なのは、Consistency(一貫性)。毎日、同じスケジュールで動くことで、子どもたちがルーティーンに慣れることができます。入園前のお子さんには、夜寝るのが遅くて朝起きられないといった子どもたちが多いのですが、より早く幼稚園に慣れるためには、毎日の生活に一貫性を持たせてリズムを整え、身体を習慣づけていくことが大切なのです。

 ただでさえ、新しい環境に適応させることは難しいもの。それに慣れてもらうには工夫が必要です。毎日の生活をルーティーン化することによって、子どもたちの負担は軽減され、むしろやる気が湧いてきます。

 モンテッソーリは3歳頃の子どもたちには「秩序の敏感期」が訪れると言っています。秩序の敏感期は、場所、順序、やり方、所有物などに強くこだわり、いつもと同じが良いと固執する時期です。毎日の生活でも同じ時間、同じ場所に行くことを習慣化することで、子どもの心身が安定していくのです。『三つ子の魂、百まで』と諺にもあるように、脳の神経細胞は、生後3歳くらいまでに、急速に発達すると言われています。感受性が豊かな年頃なので、モノはここに片付けるといった秩序性を身につける大切な時期でもあります。

新学期に備えて

 9月に新学期を迎えるにあたり、不安に思っている人も多いのではないでしょうか。どんな子どもでも初めて親と離れ、新しい環境に入る時は必ず不安を覚えます。子どもと離れるお母さんも泣いてる子どもを置いていくのは心もとないですよね。ですが、子どもは徐々に新しい環境に適応して、そのうち必ず泣き止むのです。

 少しでも早く新しい環境に慣れるためにも、当園でオススメしているのは、夏休みの間に予行練習をする方法。よく、お母さんたちに「別れ際をどうしたらいいでしょうか?」という相談を受けるのですが、「行ってらっしゃい」と短く明るい一言で見送ってもらうように推奨しています。子どもが求めているからと、長い間抱きしめたりしていると、ますます離れなくなってしまいます。子どもは母親の気持ちを瞬時に読み取り、母親が悲しんでいると子どもまで悲しくなってしまうのです。だから、ドンと構えて「今日も楽しいよ。」と明るく送り出してあげましょう。

 また子どもは自分の足で歩いて鞄を持って来ることで、「幼稚園に行くぞ」という心構えができます。だっこされて来て、温かなお母さんの胸から突然離されると、極端な変化になるので、子どもにとってより負担になります。

子どもの自立心を養う

 何でも自分でできるようにという指導に対して、まだ小さいのに…と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。子どもはむしろ1歳頃から、自分でやりたい時期を迎えます。

 子どもは、自分で何かができるようになった時に、初めて嬉しいという喜びを感じます。外部からの手助けにより、自分で達成できる機会を奪ってしまうと、逆に頼る存在になってしまうので注意が必要です。当園では、程よい加減で手伝いながら見守るというポリシーを徹底しています。子どもに対して手取り足取り世話を焼きたくなるのはわかりますが、子どもの大切な成長期のプロセスの芽を摘み取っている場合もあるので、できるだけ家庭でも大きな気持ちで見守っていただけるようお願いしています。そうすることで、自分で考える力が持てる子に育ち、不思議とグングン成長していくのが目に見えてわかるものですよ。

モンテッソーリ国際学園主宰 炭川 純代

 日本でモンテッソーリ教師の資格を取得。 1988年より幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。 その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。 American Montessori Society (AMS) 認定の幼および小学部の資格を取得し、Casa Montessori Schoolにて7年間勤務。 2003年にUCLAで心理学学士号取得。セラピストとして、自閉症児を支援し、障害を持つ子どもたちとその兄弟姉妹たちで結成したミュージカル“Miraclecats”のディレクターを務める。 2009年にCollege of St. Catherineにて教育学の修士号取得。 現在は、サンタアナ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。公益財団日本モンテッソーリ教育総合研究所実践講師。 Casa Montessori School 役員を務める。


【ウェブサイト】http://www.monteintel.com


2015年8月号掲載