コミュニケーションには何が大切?

コミュニケーションには何が大切?

 子どもは、3歳頃から無意識に行動する時期から意識的に物事を考えて行動に移す時期へと転換していきます。

 相手がどういう風に受け止めたり、感じたりするのかなどの認知的な見地も徐々に働き始め、幼児期から児童期に移り変わる6〜7歳頃には意識の芽生えが確立されていきます。

 この時期には一人の人格としてしっかり意識して接することが大切な鍵です。子どもだからわかるまいと、本人のできていないことや他の子との比較などをうっかり子どもの前で口にするのは禁物です。他人の悪口や夫婦喧嘩なども、子どもは親が話している内容をしっかり聞いて感じ取っています。なかでも両親の喧嘩は幼い子どもにとっては堪え難く、家の雰囲気を良くしようと必死に気遣ったりする子どももいます。そのような子どもは幼稚園などの外の環境で乱暴になったり、すぐに泣き出してしまったりと精神的に不安定な状態に陥ることもあるので注意が必要です。

 また、子どもの発達や学習について気になることがある場合は、本人のいない所で担任の先生に相談する方が良いでしょう。もし子どもがその会話を耳にしてしまうと、意識が確立されてくる時期でもあるため、「自分に何か大変な問題がある」などの誤った認識をしてしまうことで成長の妨げになる恐れがあります。

 とかく親が勝手に「うちの子、口下手だから」、「シャイだから」とレッテルを貼ったりしていませんか?そう言われた本人は、「自分はシャイだ、口下手なのだ」と思い込んでしまいがちです。それでは子どもの意欲を損ない、秘めたる可能性の芽も潰しかねません。

 それとは逆に「この子はすごく積極性がある」などと人前で話すことでそれを信じ込み、より良い結果を導くこともあるのです。子どもは周囲の大人のちょっとした配慮や言葉がけがきっかけで、無限の可能性がさらに拡がります。これらは社交性の育成にも大いに関わってきます。

親が会話能力をサポート
〝大人=人的環境、モデル〟

 社交性を養うためには、子どもが話しやすい環境作りと小さい頃から自分で考えて言葉を伝えようとする意識付けが重要です。それには親自身がモデルとなり、コミュニケーション能力を高められるような役割となることが求められます。

 よく子どもに質問しているのに、親が「この子はこう思っています」などと代弁している場面を見かけたりしませんか?子どもが上手に受け答えができないと、つい親が口を挟んでしまう気持ちもわかりますが、そうすることによって子どもは自分で考えて答える機会を失っているのです。

 「大人がすべてのモデルである」とモンテッソーリ理論では言われています。お母さんが普段から「今日はこういうことがあったのよ」という出来事を話したとしたら、それが子どものモデルケースとなり、同じような口調で表現するという傾向は多分に見受けられます。口が達者なお母さんだと、やはり口が達者な子どもに育つ傾向があるように、社交性も同じでモジモジしている子どもであっても親が積極的だと、見様見真似で自然とそういう立ち居振る舞いになることも。親だけでなく、子どもを取り巻く環境や、モデルケースになり得る人物がいたとしたら、無意識のうちに同じような言動になったりします。

 子どもは日頃から親が他人と話している場面や対応を案外しっかりと見ているものです。まずは親から基本的な社交性を意識して行動することで子どもを導き、ひいては良い手本となるのです。

モンテッソーリ国際学園主宰 炭川 純代

 日本でモンテッソーリ教師の資格を取得。 1988年より幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。 その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。 American Montessori Society (AMS) 認定の幼および小学部の資格を取得し、Casa Montessori Schoolにて7年間勤務。 2003年にUCLAで心理学学士号取得。セラピストとして、自閉症児を支援し、障害を持つ子どもたちとその兄弟姉妹たちで結成したミュージカル“Miraclecats”のディレクターを務める。 2009年にCollege of St. Catherineにて教育学の修士号取得。 現在は、サンタアナ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。公益財団日本モンテッソーリ教育総合研究所実践講師。 Casa Montessori School 役員を務める。


【ウェブサイト】http://www.monteintel.com


2015年10月号掲載