Q:翔くんは5歳半でカナダに引っ越しましたが、英語の勉強に関して心がけたことや秘訣を教えてください。

Q:翔くんは5歳半でカナダに引っ越しましたが、英語の勉強に関して心がけたことや秘訣を教えてください。

2014年7月、関係者の許可を得て、心臓外科医の南淵明宏先生の心臓手術を見学(一番左が翔くん)

リスニング能力、発音などは幼い頃から手を打っておいた方が良いのは確かです。英語のDVDを観たり、CD付きの絵本で音を聞きながら絵本を読むことは大変有効だと思います。

 翔は5歳半過ぎまで日本で育ち、英語学習を主軸としていなかったこともあり、カナダの学校に転入した時、ネイティブとの英語力の差は相当ありました。そのため、ベビーシッターを頼んでいた12歳くらいの小学生の女の子たちに、英語絵本の「読み聞かせ」と、英語で『ナーサリー・ライム』(マザー・グースの歌)などを「歌ってもらうこと」をお願いしました。大量の読み聞かせは、語学習得の近道。追いつくには量をこなすことが必要です。それと、Dr. Seussの絵本などライミング・ワードの繰り返しがある本は、英語習得の初期においておすすめできます。

 また、ベビーシッター任せにするのではなく、発音が悪くても臆することなく親子一緒に本を読んだり、内容を理解しているか質問したりもしました。翔が絵本を発表のように読むのを聞いて、「頑張ってるからどんどん上手に読めるようになってきたね」と褒めて勇気づけたりもしました。

 近所の子供やクラスメイトたちと毎日のようにプレイデートした経験も英語習得に大変有益だったと思います。会話に不自由しなくなってからは、たくさんの本読みに加えて、エッセイを書く練習もしていきました。

Q:思春期迎えた翔くんは、勉強以外に興味を持ったりすることはなかったのでしょうか?ティーンエイジャーとなった今後の子育ての方針などお聞かせください。

Q:思春期迎えた翔くんは、勉強以外に興味を持ったりすることはなかったのでしょうか?ティーンエイジャーとなった今後の子育ての方針などお聞かせください。

2014年、神の手を持つと言われる心臓外科医の南淵明宏先生から、手術の説明を伺う

思春期に限らず、勉強以外にも色々興味を持つ子でした。夕食時に家族で話をするよう心がけていたので、その時にアドバイスするようにしていました。男の子の場合、身近な男性は父親ですから、父親の影響が大きいと思います。基本、父親のマネをしていますね。

 ところが思春期に入ると、別の行動規範を求め始めます。思春期は親よりも、行動規範となる身近な人たち、特に若い先生や、学校の先輩たちから多くのことを学ぶ時期だと思います。翔も先輩たちから様々なことを学び、影響を受けています。そういう意味でも、学校生活、クラブ活動への所属、ボランティア活動などは、子どもが成長する上でとても大事なことだと思います。

 翔が大学に合格した時、日本にいたなら中学校3年生だったわけですが、飛び級したお蔭でクラスメイトは常に3歳年上、先輩は4歳以上年上という環境でした。インタビューの受け答えなどから、「とても14歳には見えない。大人びている」とよく言われましたが、これは年上のクラスメイトたちと接するなかで行動規範を学んでいたからだと思います。最近では、大学のクラブ活動の先輩たちが翔に良い刺激を与えてくれているようです。

Q:将来はどのような大人になってほしいですか?

Q:将来はどのような大人になってほしいですか?

(左)2014年7月、茨城県にあるJ-PARCにて、坂元眞一先生から、T2K実験(ニュートリノ振動実験)についてレクチャーしていただく

(右)2015年1月、カナダ総督(エリザベス二世女王の名代)から、ガバナー・ジェネラル・アカデミック・メダル賞を受章

 与えられた才能や幸運を社会に還元していってほしいですね。大事なことは、皆と協力し、新しいことに挑戦していくこと。どの国であれ、本人が選んだ場所で自立して生きていけること。翔が好きな道を究め、社会に貢献できるのであれば、こんな嬉しいことはありません。

 

Q:アメリカで子育てをしている読者に、バイリンガルを育てるための秘訣や子育てのアドバイスをお願いします

Q:アメリカで子育てをしている読者に、バイリンガルを育てるための秘訣や子育てのアドバイスをお願いします

2015年7月、ラジオ番組『セイタロウ&ケイザブロー おとこラジオ』に出演。パーソナリティーの大野勢太郎氏とケイザブロー氏と共にスタジオ収録

最初から北米で生まれ育った場合と、年齢にもよりますが日本で生まれ育ち、後に北米へ転校した場合とでは、少し違うと思います。

 北米で生まれ育っている場合は、英語教育より、日本語教育を徹底する強い覚悟が必要です。スカイプなどで日本の親戚らと話す、アニメ・マンガ・書籍などを総動員して日本語環境を作る、英語と日本語を混ぜて使わない、手紙・メール・日記などを日本語で書く、補習校や日本語学校に通う、日本の通信教育教材を利用するなどが必要になると思います。両親共に日本人の場合、家庭内では徹底して日本語だけを使うこと。片親だけが日本人の場合はできるだけ多く日本語で話しかけることが大切です。もし可能であれば夏休みに日本に帰国し、地元の学校に通うとよいでしょう。

 また、英語面では、日常会話がネイティブのようにこなせる子でも、両親の母国語が英語でない場合、英語文化面の背景知識が不足しがちなので、それらを意識的に補うことが重要です。ちょっとした英語表現の裏に、バイブルの知識や英米文学作品や歌詞などからの引用があるので、交友関係を広げたり、バイブル・スタディーや、読書などして知識の幅を広げていくことが大事でしょう。時にはテレビ・ビデオ・映画なども有効だと思います。

Q:子供が日本で生まれ育ち、途中からアメリカに転校してきた場合は、どうでしょう?

Q:子供が日本で生まれ育ち、途中からアメリカに転校してきた場合は、どうでしょう?

(左) 2014年7月、下村博文前文科大臣と大臣室にて。カナダの教育制度について報告した

(右)2014年7月、参議院議員と面会後、議員会館前にて。大学学生選挙の際、この時の写真を立候補ポスターに使用し当選

日本で育ち、途中から転校してきた場合、両親は「英語国に住むのだし、子供は吸収力があるから、すぐに英語に馴染めるだろう」と安易に考えがちです。しかし、新たな言語を学ぶことはそう簡単ではありません。子供は壮絶な思いで日々の学校生活を生き抜くわけですから、親としてもできる限りのサポートをしてやりたいものです。

 英語がまだうまく話せない子の場合、子供の力だけではなかなか仲間の輪に入れなかったりします。小学校低学年の場合は、親がプレイデートのアレンジをしてあげると良いと思います。また、必要があれば、担任の先生やESLの先生に相談すると良いと思います。

 翔は、英語が上手に話せなかった上、学年途中での転入だったため、最初、友達作りに苦労していたようです。そこで私はまず、学校での親によるボランティアに参加し、担任の先生や他の親御さんたちと仲良くし、自分たちを知ってもらうよう努めました。それからクラスメイトのお母様たちに声をかけ、プレイデートの話をまとめました。

 幼い子供、キンダーガーテンからプライマリー年齢の子供のプレイデートは、かなりのところ、親主体で決まります。子供同士が学校で少しくらい仲良くしていても、よく知らない家庭へ子供だけ遊びに行かせるのは、親として躊躇するもの。そうした相手の親の気持ちも考え、最初は、親も一緒に我が家へお茶にお招きしました。オープンな雰囲気で、親ぐるみで仲良くし、息子の友達作りをサポートしたのです。

 もちろん、いくら親がプレイデートの話をまとめても、その後は、本人が頑張らないといけません。翔の場合、プレイデートでクラスメイトたちと遊んでいるうちに、お互いスター・ウォーズ・ファンであることに気づき、それがキッカケとなって自然と打ち解けていきました。やはり趣味の一致は友達作りの基本ですね。興味が一致するとグッと親しくなり、語り合いたい気持ちが高まるようです。こうしてプレイデートしたうちの何人かとは、その後も親子ともに大変良い友達になれました。また、親にとって負担ではありますが、バースデー・パーティを開くことも大事です。招いたり、招かれたりして、仲良くなっていきます。

 その他、学校外でスポーツを習ったり、集団でのお稽古事やアクティビティーに参加することもおすすめです。翔は空手の他、グレード1の頃は地元のサッカーチームに入っていました。また、毎年、夏休みには教会主催のバスケットボール・チームに入り、多くの友達と遊んでいましたね。加えて、町の図書館で高校生たちがボランティアで本読みをしてくれるというアクティビティーにもグレード3まで参加していました。

 高校生になって以降は、逆に翔がボランティアで図書館での本読み指導をしたり、メンターになったり、空手指導をしたり、数学指導をするなどして、地元で学んだことを返せるようになり、良かったと思っています。


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Emiko Okawa■「ギフティッド」大川翔の母。東京弁護士会所属弁護士。弁護士の傍ら、予備校、大学、法科大学院で教鞭を執る。超難関の旧司法試験で創立以来合格者ゼロの大学から依頼され大学で講義。3年後、見事合格者を出す。その卓抜した指導力により司法界伝説の「リアル・ドラゴン桜」の異名を持つ。2015年8月、『9歳までに地頭を鍛える! 37の秘訣』を扶桑社より出版