セルフイメージの重要さ

セルフイメージの重要さ

 大人になってから自分で何かをやろうと思った時に、壁にぶち当たったり、思い通りにならない経験をしたことがありませんか?それは、本人の幼児期の記憶や体験が大いに関わってきます。幼児期に苦手だったことや、自分はこういう人間だったなどの勝手な思い込みが、時として潜在的な意識として邪魔することがあるのです。

 前回お話しした「成功体験」につながるのですが、幼児期にたくさんの成功体験を積んでいる子どもだと、どんな難題であっても、乗り越えられるんじゃないかという感覚や自信がセルフイメージとなって、自分の決断力に潜在意識として刷り込まれているのです。

 幼少期〜5、6歳頃になると感受性も強くなり、急に大人びた発言をしたり、一気に表現力も豊かになります。その分、子どもなりに直面することに思い悩んだり、そこから自力で立ち直っていくことも将来の人格形成につながる大事な経験値となります。なので、良いセルフイメージを作るには、大前提として自分の価値を知り、自分を大切にする。そして、キーワードは自分を好きになること。自分が抱えるイメージは、記憶の中に蓄積されていくものなので、私たちは子どもに起こっている物事に対して、「どう受け止めて、どう感じるのか。そしてそこからどう進むかもあなた次第」だということを常に伝えています。例えば、お友達にいじめられてショックだったとしても、そこで落ち込んだままなのか、それとも他に楽しいことを見つけて気持ちを切り替えるのか?という選択があります。後者の気持ちを切り替えるにはイマジネーションが必要です。私たちは子どものセルフイメージの構築を実践を通じてトレーニングできるよう創意工夫しています。良いセルフイメージを持つ子どもは、大きくなっても「自分はできる」という芯の強さと自信を兼ね備えています。そういう子どもに成長するよう、日々、見守っています。

具体的な夢や目標を持つ

 野球のイチロー選手やサッカーの本田圭佑選手が、小学校の卒業文集で「プロ野球選手になる」、「世界一になる」などと具体的な夢を掲げていたというのは有名な逸話ですが、彼らは小さい頃から明確に夢を思い描いていたのでしょう。

 自分で「そうなる」と声に出しているとその夢は叶うといいますが、本当にその通りなのでしょうか。それは自分のことを感覚的に信じるだけでなく、夢の実現に対していかに具体的に思い描けるか、ということが肝になってくると思います。それには集中力、イマジネーション、そして感受性の豊かさなどが必要不可欠です。私たちは感覚器官で様々な情報をキャッチしていますが、その感覚器官が洗練されていないとセンサーが機能せず、何も感じられない子どもになってしまいます。幼児期に感受性を高める活動を取り入れていくと、「自分はこれが好きなんだ」という夢や目標が見つけやすくなります。

 次に、具体的にそうなるためには、自由を与えてあげることです。大人が始めから何もかも決めてしまうのではなく、子ども自身が興味を持ちそうなことを周りに置いてあげれば、彼らは自然に興味のある方に近付いていって試してみます。そこから「好き、嫌い」がはっきりと感情に表れてくるのです。その上で子どもが夢中になれるものを選択させれば良いのです。それが将来の夢のゴールに向かっての第一歩。強いては子どもの将来の礎となるのです。夢中になれるものがあると人生が豊かになるのは大人も同じですよね。

モンテッソーリ国際学園主宰 炭川 純代

 日本でモンテッソーリ教師の資格を取得。 1988年より幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。 その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。 American Montessori Society (AMS) 認定の幼および小学部の資格を取得し、Casa Montessori Schoolにて7年間勤務。 2003年にUCLAで心理学学士号取得。セラピストとして、自閉症児を支援し、障害を持つ子どもたちとその兄弟姉妹たちで結成したミュージカル“Miraclecats”のディレクターを務める。 2009年にCollege of St. Catherineにて教育学の修士号取得。 現在は、サンタアナ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。公益財団日本モンテッソーリ教育総合研究所実践講師。 Casa Montessori School 役員を務める。


【ウェブサイト】http://www.monteintel.com


2015年12月号掲載