特別インタビュー|大川興業 総裁 大川豊氏

特別インタビュー|大川興業 総裁 大川豊氏

日系情報誌で10年近くにわたって連載を担当するなど、ロサンゼルスとの縁が深いお笑いタレントで、江頭2:50ら人気タレントを抱える、大川興業の代表取締役でもある大川豊氏に近況を伺った。

世界初の芸人ジャーナリスト

 世界初の芸人ジャーナリストとして民主党政権時代に解禁された大臣会見に出席し、政治や福祉、震災復興など現代社会が抱える問題にも鋭い発言とコミカルな提言をすることでも知られている。久しぶりのロサンゼルス訪問中に、3月に5周年を迎える東日本大震災の復興や政治、日本が抱える諸問題など多岐にわたりたっぷり語ってもらった。

LAの物価上昇に仰天

 まず最初に、昨年12月、ロサンゼルス郊外サンバナディーノの福祉施設で発生したテロ事件の犠牲者となられた方々のご冥福と、負傷された方々のご回復をお祈り申し上げます。

 2011年以降、東日本大震災復興支援活動で忙しく動き回っていたので、今回のロサンゼルス訪問は約5年ぶりです。久しぶりに訪れて感じたのは、牛丼が7ドル77セントもして物価が高い!昔は2ドルくらいだった。しかも、円安で122円。黒田日銀総裁のバズーカ金融緩和がいきなり直撃しました(笑)。牛丼一杯で1000円とはかなりショックでした。友人と2人でラーメンを食べても4000〜5000円って驚きですよね。でも唯一の救いがまだ99セントショップに、50センチくらいのパンが売っていたこと。だけどこれにバターをつけて食べようと思ったらバターがなんと2ドル99セント!

 でも、お蔭で金融ギャグになります。ちなみに以前、リーマンショックの時は、GM、AIG、ファニーメイ、フレディマックに投資して、財政出動し、オバマ大統領より先に資本注入させてもらうという金融ギャグをやらせてもらいました(笑)。これも加州で連載し、東海岸からも早くからサブプライムローンのことを教えていただいたお蔭です。

震災復興に奔走した5年

震災復興に奔走した5年

(左)南相馬野馬追いにてお笑いライブを開催。前列一番左が大川氏

(右)復興支援として津波で被災した位牌や仏壇を修復

 3.11以降、大川興業はボランティアとして被災地に行っていました。大川興業は男のお笑い集団で、自発的にやりたい人がやればいいというスタンスなので、社を挙げて復興支援をしているということは一切公表していませんでした。ボランティアが当たり前の米国なので、今回初めてお話しします。

 当時、米国からの支援物資を届ける活動をしていました。各自治体に水を持って行くと、平等に配布しないといけないという建前で、無駄になったり、配布できなかったりします。大型の避難所に届いても、自宅の1階だけが被災し、火事場泥棒を防ぐために2階で暮らしている人には届かなかったり。本当に届けたい被災者には届けられないんだと知りました。新潟で起きた2つの地震の時にも、そういった現場を散々見てきたので、微力ではありましたが、北は八戸から南は茨城まで全被災地を回りました。

 江頭2:50が福島のいわき市に放射能をくぐり抜けて行ってしまった時は、ちょっとした騒ぎになっちゃって。江頭が服を着ていると目立つということがよくわかりました。ツイッターで大騒ぎになり、放射能で苦しんでいる人がいるのに嘘を言うなと、ツイートした福島の被災者の方が攻撃されてしまったので、その時ばかりはさすがに事態を収束しないとまずいと思い、「個人的に行きました」と公に認めました。

 個別対応で色々な活動をしています。例えば、津波に流されて潮に浸かったり粉々になってしまった位牌や仏壇などは、津波を乗り越えたことや、先祖代々の繋がりもあり、なんとかできないかと被災者の方々に言われ、修復するプロジェクトもやりました。そして当時、海外からの研究者たちは福島の現場に行けない状況でした。なのでジョージア大学のチャム・ダラスさんを案内し、さらにペンタゴンも公式に認めている放射能の除染技術を持つ会社の研究者も来日していたので、チームを引き連れて福島の保育園に行きました。コンクリートや屋根の上のなかなか落ちない放射能を洗濯糊みたいにペラペラって剥がせる技術で除染する実験もしました。その様子を撮影した動画や写真がニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで紹介されたみたいです。また、南相馬世界会議に出席させてもらい、子供たちが公園で遊ぶためにわざわざ仙台まで行っていると聞き、近所の公園を除染し、遊具を設置したりもしました。もちろん南相馬の野馬追いや釜石よいさなどでお笑いライブもやりました。山田町の音楽チャリティーライブも裏方としてお手伝いしたり。そういった活動を今も続けていますが、地方創生と同じで、いかにそれを継続できる事業にするか、新しい産業を生み出すかという段階になっていますので、皆さんのお力を貸してください。

安倍政権は妖怪?

 総理官邸の記者会見が、フリーのジャーナリストにも開放されつつあるので参加しています。

 以前、増税延期で衆院解散する際の会見で、当時の小渕優子経産大臣が地元有権者にワインを配ったり、天童よしみさんのコンサートを鑑賞させたりしていたのが発覚して辞任、松島みどり元法相はうちわ配布問題で辞任、その後、宮沢洋一元経産大臣もSMバーでひと悶着と、辞任ドミノの起こり方が妙でした。時を同じくして〝妖怪ウォッチブーム〟でした。

 小泉元総理は郵政解散の時の会見で自分の言葉で語り、自力で勝負に出たが、安倍総理はこんな大切な会見にも関わらず、原稿を読むためプロンプターを使っていました。質問で手を挙げている時にハッと気付きました。〝妖怪のしわざ〟だ。一連の閣僚スキャンダルもこれだと。

 総理のおじいさん、岸信介は〝昭和の妖怪〟と呼ばれていました。岸信介は自主憲法を目指していたから、安倍総理も憲法のことで〝妖怪解散〟したのではないかと。隣にいる菅官房長官は妖怪ウォッチのウィスパーに似ています。会見の時に持っている黒いバインダーがウィスパーの持っている妖怪Pad(妖怪のことを調べる時にiPadのように使う)に見えて仕方がなかったのです。実は〝妖怪のしわざ解散〟だったのです。今年も衆参同時で妖怪解散だと言われています。以前から政治に関しては、日本のメディアやネットではわからないので、米国からも多数メールなどで情報を貰いました。妖怪に対抗するには現世がしっかりしないとダメです。せめて、ただ安保法案反対ではなく、自国のみの武力で自国を守れるのは米国しかいないけど、日本は重武装中立するのか、年間防衛予算は20兆円から30兆円必要と言われるが、どう予算を組むのか。それ以前に、ホルムズ海峡を通過するタンカーは操縦が大変で、どんな危険があるのか、参考人招致もなく、デモしている人が国会に呼ばれているのは訳がわかりません。実質、安保法案は論戦にならずに終わりました。

総理がコロコロ変わるのが日本

総理がコロコロ変わるのが日本

フリージャーナリストとして首相会見にも出席

 安倍政権になってようやく総理大臣が落ち着いたけど、コロコロと総理大臣が変わるなんて海外の人には理解不能。アメリカでは決まりごとではないものの、歴代の大統領は4年×2期で8年務めます。ブッシュ大統領選やオバマ大統領選で米国のマスコミに「総理大臣がコロコロ変わるってことは、ジャパニーズドリームで、総理になれるチャンスが一番高い国なんだ」と言うと、みんな爆笑していました。さらに、日本は多神教なので、次々に神が現れると言ったら、本気で納得していました。日本は総理以外がポリティカルパワーを持っていることを、すごく表現していると思います。ネットフリックスで配信しているドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』を日本でもやるとかなり面白いと思います。話が大きいかもしれませんが、民主主義を考えていると、どうしてもキリスト教に辿り着きます。神の下の平等システムかなと。さらには資本主義もです。マックス・ヴェーバーじゃないですけど、プロテスタントから双子のように生まれてるところが根本的にあるので、日本に合う形の民主主義を作らないとダメ。日本が第二次世界大戦で勝利とまでは言わないまでも引き分けたとして、軍人がパワーを持っていたのを、自分たちの力でひっくり返して民主主義国家を作らないと。もともと憲法も自分たちで勝ち取ったものではないんだし。明治維新は下級武士による革命で、本当の市民革命ではないですから。それが良いか悪いかは別の話で、日本の共同体主義が明治維新には出ていたと思うので、日本らしい政治システムがあると考えています。平時は集団合議制で、非常時には下剋上できるシステムとか色々考えています。


大川興業 総裁 大川豊氏

Yutaka Ookawa■1962年2月14日東京生まれ。明治大学商学部に在学中、「ラブアタック」「プロポーズ大作戦」「パンチDEデート」などのテレビ番組に出演。83年、学ランのパフォーマンス集団「大川興業」を結成。ナンセンスな笑いを提供する一方で社会情勢や政治的な内容を取り入れた過激なパフォーマンスで人気となる。就職活動で153社の試験に落ち、85年に自ら大川興業株式会社を設立。自分で自分に内定を出し、代表取締役に就任した。テレビ、舞台を中心とした小劇団的な活動で全国ツアーを行い、時代を先取りするストーリー展開で世間を賑わす。週刊プレイボーイを始め多数連載。政財界人との対談や、北朝鮮、イラク、9.11直後のNYなど世界の現場にも足を運ぶ。大学時代から重ね続けている借金をネタに雑誌「ぴあ」に連載したコラム「金なら返せん!」が人気を博す。芸能事務所の代表取締役としては、江頭2:50や阿曽山大噴火などを世に送り出している。


世界初の芸人ジャーナリストとして世界の現場から物申す!〜その2〜へ


2016年02月号掲載