恐るべき2歳児とは

恐るべき2歳児とは

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 子どもの発達過程において、親が最初に直面する第一次反抗期は「魔の2歳児」(英語:Terrible Two)と呼ばれ、別名イヤイヤ期とも言われています。手が付けられず、言うことを聞かない怪獣のような子どもを指す代名詞としても使われていますが、果たして2歳児はただのわがままなのでしょうか?

 0歳〜6歳は人間として様々な段階を経て大きく変容していく大事な成長期にあたりますが、2歳前後の子どもは自己中心的で本能のままに動き回る時期です。3歳頃になれば無意識から意識的に会話や遊びができるようになる移行期となり、より人間らしく成長していく時期といえます。自我が芽生えてくるこの時期は、こちらの思い通りにするのは至難の技で、2歳児には通用しないのです。しかし、嫌なものは嫌、好きなことはとことんまでやろうとする一見わがままに思える言動も、自立しようと自己表現する成長過程の証でもあり、誰もが通る道なのです。

 ある時、学園に見学に来られた親御さんがクラスルームを覗いた時に、園児たちが脇目もふらず夢中になってお仕事(遊び)をしている姿を見て「2歳児でこんな静かなはずがない、子どもらしくない」と驚かれました。言うことを聞かないはずの「魔の2歳児」たちが、自分の活動に夢中になっているのにはとした理由があります。

敏感期をどう過ごすか

 「敏感期」とは、子どもの意志、欲求のなかで興味や関心を強く持って、熱心に何事にも取り組む時期のこと。この現象は「敏感期」特有のもので、生まれながらにして備え持つ「自分でできるようになりたい!マスターしたい!」という欲求が著しく現れてきます。だから、ティッシュ箱からティッシュをとめどなく引っ張り出したりするわけです。

 運動や感覚器官が研ぎ澄まされ発達が盛んな時期でもあるので、自分の身体を通して、手が思い通り動くように繰り返し練習をしてみたりするのも特徴です。また、周りにあるモノを集めて、自分の好きなように並べたりする行動は秩序性を身に付けているのです。この時期の子どもは、集中力に長けており特定の行動をスムーズに習得しやすい状態にあります。この「特定の行動」とは、人間に必要不可欠な心身の技能を身に付けるための行動です。

 私たちモンテッソーリ教育では、ティッシュ箱の代わりに子どものサイズに合わせたお道具や、興味が湧くような活動を用意することで、子どもたちが夢中になって物事に取り組み、やりたいことを満足するまでできる環境づくりに注力しています。彼らの言動の背景を理解し、十分な活動範囲を整えることで充足感を与える。そうすることで、互いの信頼が深まり、従順な関係を築くことができるのです。安定感に包まれるため、常にだっこしてもらわないと泣いてしまうというようなことも随分と減ってきます。

 夢中になれる事柄のヒントは、子どもを取り巻く環境の中にいくつも溢れています。適切なタイミングと環境が揃っていれば、成長に必要な技能を身に付け、すくすくと育っていくでしょう。

 スポンジのような吸収力で成長を遂げる敏感期は短く限られています。この素晴らしい成長エネルギーも、周りにいる大人が気付かなければ消失してしまい、心身の技能を体得する数多くのチャンスを失いかねません。子どもが満足のいく環境を整え、家庭での躾のバランスを保ちながら、多くの成功体験に導いてあげましょう。

モンテッソーリ国際学園主宰 炭川 純代

 日本でモンテッソーリ教師の資格を取得。 1988年より幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。 その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。 American Montessori Society (AMS) 認定の幼および小学部の資格を取得し、Casa Montessori Schoolにて7年間勤務。 2003年にUCLAで心理学学士号取得。セラピストとして、自閉症児を支援し、障害を持つ子どもたちとその兄弟姉妹たちで結成したミュージカル“Miraclecats”のディレクターを務める。 2009年にCollege of St. Catherineにて教育学の修士号取得。 現在は、サンタアナ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。公益財団日本モンテッソーリ教育総合研究所実践講師。 Casa Montessori School 役員を務める。


【ウェブサイト】http://www.monteintel.com


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2016年2月号掲載