私は、駐在員として日本から派遣され、現在、米国の子会社にて、L-1Aビザで滞在しています。最近、親会社の負債整理のため、会社の株式を米国の他の会社に売却すると社内で聞きました。私は、このまま米国に滞在できるのでしょうか。もしくは、他のビザに切り替える必要があるのでしょうか?

 L-1ビザは、日本にある親会社から米国内にある子会社に派遣される人のためのビザです。このビザの主な条件は、米国にある子会社の原則として50%以上を日本にある親会社、あるいは、その株主が、直接的または間接的に所有していること、申請者が申請前の3年間のうち1年以上は親会社、または、その関連会社において管理職(L-1A)もしくは、特殊技能者(L-1B)として勤務していることなどが条件として挙げられます。

 L-1ビザのスポンサーとなっている子会社が株式を売却した場合、その会社がL-1ビザのスポンサーとして継続することが出来るかは、合併後も日本にある親会社と「親会社」「子会社」の関係に当たるかどうかによります。この条件を満たしていれば、L-1ビザは保持できますし、そうでなければ失効してしまう可能性もあります。

 本件の場合、日本にある親会社が子会社の株式売却後も、米国にある子会社を「所有」しているかどうか、また、「指示を与え、規制・監督」する立場にあるかどうかが審査の対象となります。移民局では、「所有権」を「指示を与え、規制・監督する十分な権限の法的所有」と定義し、「指示を与え、規制・監督」することについては、「事業体の経営、並びに営業を管理・監督する権利および権限」と定義しています。株式売却後も親会社が実質的に子会社を「所有」しており、また、「指示を与え、規制・監督」する立場にあれば、その「所有」関係および、「指示を与え、規制・監督」程度に変更が加えられることとし、親会社の所有する株式の割合や監督体制が変わる等について移民局は関与しないとしています。また、これには2つの会社間で、「所有」の割合、および「指示を与え、規制・監督」する程度を同じくする50/50の合併会社も含まれるとしています。ですから、あなたの場合、子会社が50%以上の株式を投資家に売却しなければ、L-1ビザを保持し続けることが出来ます。

 ただし、あなたの在籍する会社の親会社が、合併後50%以上の株式を所有しなくなる場合(吸収合併されたような場合等)、実質的な「所有」の条件を満たさなくなりますので、「指示を与え、規制・監督」する程度においても実質的に50%を下回る場合は、ビザを失う要因となります。逆に言えば50%以上の株式を所有していないような場合であっても、投資家があくまで投資目的だけであって、経営に参加する気はなく、子会社自身がその投資家から株主総会においての投票権の代理委任を得ており、あなたの会社が実質的な経営権を握っているような場合は、このことを証明することによってL-1ビザを保持することが可能になります。

 移民局の規制においては、前述のように会社の構成自体に変更があった場合、申請書の変更を義務付けていますが、小さな変更であれば、L-1ビザの延長手続き時に報告するのみで良いとされ、重大かつ実質的な変更が行われた場合にのみ、即時の報告義務があるとされています。

 一方、あなたの在籍会社が前述の条件を満たさず、L-1ビザを保持することが困難な場合、H-1B等の他のビザに切り替える必要があります。ここで注意しなければならないことは、LビザからHビザに切り替えた場合、H-1Bの最高延長期間は6年間とされていますが、これには以前に使用したLビザの期間も含まれるという点です。従って、あなたがLビザを既に4年間使用していたとすると、Hビザ変更後、2年間のみの有効期限しかないことになります。ただし、永住権の申請開始後、1年以上経過している場合、H-1Bの6年以上の延長が可能になります。このような場合には、即座に永住権の申請を始め、Hビザが6年間以上延長できるようにすることをおすすめします。


2016年5月号掲載