白を基調にした清潔な店内。明るく洗練された雰囲気が漂う

白を基調にした清潔な店内。明るく洗練された雰囲気が漂う


 世界に誇れる日本の食文化を辿ると、主食の米に次いで昔からそば、うどん、冷麦、ラーメン、パスタ、焼きそばなどの麺類は欠かせない。特に昨今の海外でのラーメンブームは目を見張るものがある。そしてベトナムもまた主食が米であり、米粉と水を主原料とする米粉麺のフォーはベトナム料理を代表する一品と言えよう。

 ベトナムは隣接する中国や、宗主国であったフランスの食文化の影響を色濃く受け、中華料理のように脂っこくなく、あっさりとした優しい味を好む日本人の舌によく合う。アジア料理らしく、薬味として香菜やハーブ類を多く食材に取り入れ、香辛料も多く使うことから新陳代謝も促進され、あまりクセがなくマイルドな味付けを特徴としている。また、主食の米とおかずや汁物を組み合わせて食べる点なども日本食と共通している。

 肥満比率を表す国際比較では日本や諸外国に比べると圧倒的にベトナムは低く、低カロリーでダイエット効果も期待できると言われるヘルシー志向のベトナム料理に近年注目が集まっている。

 サンフランシスコの有名ベトナムレストランのひとつである「The Slanted Door」で修業したシェフのペリーさんが友人2人とパートナーを組み、カルバーシティにこの「フォーレイジ」を2013年にオープン。モダンかつカジュアルな雰囲気で、地元の質の良い食材を調達し、それまでベトナム料理を食べたことのない人にも気軽に足を運んでもらいたいという。15年にはレストランレビューとして定評があるEater LAのフードライターのお気に入りレストランとしても紹介された。

 UCLAから近いという場所柄、客層は比較的若い世代が多く、アジア系は半数くらいだとか。アルコールは置いていないが、そのせいか回転率が良く、ひっきりなしに客が入れ替わる。ハイテーブルを中心にこざっぱりとしたレイアウトは、30代のオーナー3人のそれぞれのセンスが光る。シンプルでいて、とても明るく清潔感溢れる店内である。

ベジタリアンバージョンもあるImperial Roll($7)。温かいうちにどうぞ

ベジタリアンバージョンもあるImperial Roll($7)。温かいうちにどうぞ


 アペタイザーとして人気の高いImperial Roll(7ドル)はフライドタロを豚肉のマリネの隠し味にしているという米粉シートで巻いた揚げ春巻き。一口大にカットされており見た目もかわいい。サイドにはレタス、ミントの葉、茹でた米粉麺が添えられ、巻いてフィッシュソースをつけて食べる。外はカリカリ、中はジューシーで肉汁が口の中にジュワッと広がる。

外がパリッとトーストされたバゲットを、ぎゅっと押さえながらほおばるのも楽しいBerkshire Pork Banh Mi ($9)

外がパリッとトーストされたバゲットを、ぎゅっと押さえながらほおばるのも楽しいBerkshire Pork Banh Mi ($9)


 お馴染みのベトナムサンドイッチのBanh Miのなかで、一番人気はポーク(9ドル)。軽くトーストされた厚みのあるフレンチバゲットの間にはニンジンのなます、薄切りにしたキュウリ、香草、ハラペーニョと一緒に、甘辛の自家製のタレに漬け込まれた豚バラと豚肩肉のミックスがボリュームたっぷりに挟み込まれている。照り焼きのようなツヤのある豚肉が見え隠れして何とも食欲をそそる。がぶりとほおばると、余分な脂の落ちた柔らかいバラ肉と食感の違う肩肉がいい塩梅でバランスを保ち、バゲットとベストマッチ。酸味、甘味、辛味が融合されて、飽きさせない味の演出にも一役買っている。

MSGを使わないスープはすっきり、こっくり。グルテンフリーのWashugyu Beef Pho($11)

MSGを使わないスープはすっきり、こっくり。グルテンフリーのWashugyu Beef Pho($11)


 ビーフ、チキン、オックステールと3種類あるフォーの中でオーダーが多いのはビーフ(和州牛)だという。24時間〜28時間かけて出汁をとるという透明度の高いスープは、コクがあって、身体に染み込んでいくような優しい味付け。ここに米粉麺、スカリオン(細ネギ)、タマネギ、香草と共に和州牛の生の薄切りと火を通してある厚切り牛肉が載せられてくる。生のモヤシ、タイバジル、フレッシュなライム、薄切りのハラペーニョが別皿で添えられてくるのでお好みで湯気の上がる麺に載せて混ぜると、スープの熱で軽く火が通っていく。

 ベトナムの米粉麺は、日本のきしめんにも似た形状。水に漬けた米を挽いてペースト状にしたものを熱した金属板の上に薄く流し、固まったら端から裁断し麺の形状にして製造する。日本のうどんのようなコシはなくツルツル、サラサラな食感である。

 ベトナムでは高級レストランから屋台までフォーが食べられる生活に密着した国民食である。地産地消の良質な食材にこだわるヘルシー志向のレストランは、気軽に立ち寄れる店として覚えておきたい。

フォーレイジ/Phorage

フォーレイジ/Phorage

住所: 3300 Overland Ave. Los Angeles, CA 90034
Tel: 310-876-0910
時間: 11:00am〜10:00pm(月〜土)
    11:00am〜8:00pm(日)
Web: http://phoragela.com/


取材・文=村山 房子
LA在住15年。会社員、フィットネスインストラクターと多忙な毎日でも自炊は欠かさず。
Foodieな日系人のだんなと猫2匹の明るいLAライフ。
撮影 = Emi Weinsieder
神奈川県茅ヶ崎市出身。取材からライフスタイルフォト(ウェディングやファミリー撮影)まで幅広い経験を持つシルバーレイク在住LA photographer。
ブログ✳ silverlakedays.com
インスタグラム✳ https://instagram.com/geeegu

2016年5月号掲載