子は親の鏡⇄親は子の鏡

子は親の鏡⇄親は子の鏡

日本語のお仕事、がんばってるよ!


 前回「魔の2歳児」と呼ばれる時期の子どもたちは、自我が芽生えスポンジのような吸収力ですくすくと発育していくことをご紹介しましたが、同時に幼少期の子どもの自己形成は、親の躾や人的環境によって大きく左右されると言えます。

 〝子は親の鏡〟という詩があったように、子の成長は親やその周りを取り巻く大人(家族)たちの姿勢や成長が問われることでもあるのです。

 しかし、そうは言っても親も人間です。ましてや初めての子育ては親も初心者。うまく子育て(教育)が出来ているかなんて誰にもわからないですし、答え合わせに正解はないんです。失敗したり、悩んだりしながらも自分を責めるのではなく、子どもと真剣に向き合いながら、共に成長していく心構えが始めの一歩だと思います。

 特にお母さんの場合、産後はホルモンバランスの関係で情緒不安定になる時期があります。その上、子育てに集中するあまり、社会との接点が遠のき、周囲との関わりも希薄になりがちです。一人で子どもを見ていると、思い通りにならないことに気が滅入ったり落ち込んだりするうちに負のループにはまってしまう人もいます。誰もが同じ悩みを抱え、同じ道を辿っているのですから、自分だけを責めたり孤立するのは避けましょう。今の自分を理解してくれるような友人、知人、家族に相談したり、先輩ママにアドバイスをもらったり、同じ年齢の子を持つママ友と励まし合いながら子育てをしていくことで、孤立しない環境に身を置き、お互いを客観的に見ることが、この時期とても大切なことです。

親にも必要な「成功体験」

 親はこうあるべきと思い込み、子育てのハードルを上げることで、自らの首を絞めていませんか?例えば、ご飯をあげている時に子どもがちゃんと座って食べずイライラしているとしましょう。この時、お母さんとしては「子どもに栄養を与えなくてはならない」ということで頭がいっぱいなのに、「なぜ思い通りに動いてくれないの?!」と怒りが先にくるわけです。しかし、ここでのゴールは何かと言うと、子どもが座ってお皿にある物(食事)を全部食べることなのです。具体的なゴールを設定して「この子が座ってご飯を残さず食べるためにはどうしたらいいか?」という発想の転換をすることです。そのためには簡単にイスから離れられないシチュエーションを作り、お母さんがそばで見ているうちに食べ終わるように工夫する、これを成功に終わらせるためにどれくらいの食事量でどのようなテンポで食べさせるか、などといった解決策を考えると良いでしょう。

 まずは小さな成功体験を積み重ねることから始めてみてください。そうすることでお母さんのテンションも上がって「今度はもっとこうしてみよう」と次のステージを目指せるようになります。たとえ成功に終わらなかったとしても、「明日は違う方法を試してみよう」と気持ちを切り替えて何事にも前向きに、恐れず挑戦してみることです。子育てに正解はないですし、子どもの成長は一人一人個人差がありますから、一概に一般的な枠にはめず、まずは低いハードルからクリアしてくことで、自分に自信をつけていきましょう。これが己を高めるプロセスとなります。

 「子育て」は「己育て」とも言いますから、焦らず、臆せず、親子で成長していけるように日々取り組んでいきましょう。そして、親として自分を高める努力も忘れないでほしいと思います。

モンテッソーリ国際学園主宰 炭川 純代

 日本でモンテッソーリ教師の資格を取得。 1988年より幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。 その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。 American Montessori Society (AMS) 認定の幼および小学部の資格を取得し、Casa Montessori Schoolにて7年間勤務。 2003年にUCLAで心理学学士号取得。セラピストとして、自閉症児を支援し、障害を持つ子どもたちとその兄弟姉妹たちで結成したミュージカル“Miraclecats”のディレクターを務める。 2009年にCollege of St. Catherineにて教育学の修士号取得。 現在は、サンタアナ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。公益財団日本モンテッソーリ教育総合研究所実践講師。 Casa Montessori School 役員を務める。


【ウェブサイト】http://www.monteintel.com


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子どもの表現について 〜vol. 2 〜へ
コミュニケーションには何が大切? 〜vol. 3 〜へ
大切なのは、成功体験を積み重ねること 〜vol. 4 〜へ
セルフイメージの重要さ〜vol. 5 〜へ
「友達親子」に潜む危険性 〜vol. 6〜へ
恐るべき2歳児とは 〜vol. 7〜へ


2016年3月号掲載