私は、日本で製造販売の会社を経営していますが、かねてからの夢であった米国進出を検討しています。これから米国法人を立ち上げ、就労ビザの申請を考えていますが、今後、どのように進めていくべきでしょうか。アドバイスをお願いします。

 アメリカにおいて、新規株式会社の設立に伴って申請するビザは、主に3種類あります。どのビザを申請するかは事業の種類、形態、投資金等によってそれぞれ異なりますが、多額の投資金を必要としない場合もあります。できる限り無駄な経費・時間を使うことのない方法から順に説明いたします。

 まず、日本に会社を持っていて、新たにアメリカで事業を立ち上げる場合、L-1ビザが一番適していると言えるでしょう。L-1とは、日本にある会社(親会社)から米国内にある会社に派遣される人のためのビザです。このビザの主な条件は、日本にある親会社が直接的、または間接的に、アメリカにある子会社の株式を原則的に50%以上所有しているということ。申請者が申請前の3年間のうち1年以上は親会社、あるいはその関連会社において管理職(L-1A)または、特殊技能者(L-1B)として勤務していることなどが挙げられます。

 このLビザ申請の条件としては、アメリカに子会社を登記(2〜3日で可能)し、銀行口座開設後、会社の場所となる事務所の賃貸借契約を取得し、日本から運営資金として約1万ドル以上の送金を行います。それから従業員の雇用、あるいはある程度の諸経費を使った時点で申請が可能になります。後に記述するEビザ等に比べ、遥かに短期間でビザの取得ができるため、早期に事業開始に専念できる体制を整えることができます。申請には、アメリカの移民局で認可を得るのに通常3カ月を要しますが、規定の申請料に加えて、1,225ドルを追加して移民局に支払う方法(Premium Processing)により15日程度で申請結果を得ることができ、認可が下りた後、日本の米国大使館・領事館でビザを取得すれば、Lビザでの入国が可能になります。

 次に、Lビザの条件である日本に会社がない場合に考えられるのが、Eビザです。Eビザは、E-1(通商ビザ)とE-2(投資家ビザ)の2つに分かれています。どちらも、アメリカにある会社の少なくとも50%以上の株式を日本人(米国籍も永住権も保持していない人)あるいは、日本の会社(この場合は、L-1の条件を満たしていない会社も可)が所有している必要があります。

 E-1の条件を満たすには、前述の条件に加えて、日米間で相当額の貿易を行っていることが要求されます。E-1申請には、日米間の商取引を2、3カ月行い、実績を作った後、通常、日本の米国大使館・領事館にて申請を行います。

 E-2の条件を満たすには、アメリカにて新会社登記の後、日本から相当額(約20万ドル程度)の送金を行い、それをアメリカでの新規事業のために使用し、その投資の証明を添えてE-1ビザと同様、日本の米国大使館・領事館にて申請を行います。この申請に際しては、日本からの送金を行うだけでは充分でなく、その投資金を実際に使い、新規事業の開始が可能、あるいは開始しているという状態(例えば、既存のレストランを購入する場合には、Escrowが既にCloseされていること等)であることが要求されます。

 あなたの場合、日本に会社を所有しているので、最初にL-1ビザを取得することは容易であったとしても、最近は、これを延長する(最初のL-1は、一般的に1年のみ有効なため、すぐに延長の必要あり)には、申請者以外に5〜7名の従業員を現地で雇う等の厳しい条件があります。従って、最初の1年は短期間で取得できるL-1ビザで滞在し、その後、延長するのではなく、E-1あるいはE-2に切り替える方法をおすすめします。これは、L-1ビザの更新の条件が厳しいという理由だけでなく、L-1の延長が3年であるのに対し、E-1、E-2ビザは5年取得が可能な上、L-1Aの最大延長期間が7年(L-1Bの場合は5年)と制限されているため、最大延長期間の制限がないE-1、E-2ビザに切り替える方が得策であると言えるでしょう。


2016年7月号掲載