3Dプリンターに見る女性の活躍

 フレー、フレー、日本!と、日本独自の学ラン姿の応援団として、世界で活躍する皆様を応援しています。しかし周りからは、他人のことを応援する前に、借金王である自分自身のことを応援しろともよく言われます(笑)。東北の復興支援でも、逆に「大川興業、頑張ってください」と言われます。そうするうちにわかったのが、人を応援することで自分も元気になるということ。なので、大川興業を応援する気持ちでこのコラムを読んでもらうと、実は皆さんが元気になっているかもしれません。“読むサプリメント”、“言葉のユンケル”みたいに楽しんでいただければと思います。

CESレポート

CESレポート

Mcor Technologies社のMcor Arkeという世界初のデスクトップ型フルカラー3Dプリンターで作った人形


 さて、第1回の今回は、1月にラスベガスで行われたCES(Consumer Electronics Show)という世界最大規模の家電見本市で、孤軍奮闘していた日本企業を紹介しよう。

 CESレポートとなると、やはりパナソニックやソニー、有機ELであったり、4Kなど、最先端分野のレポートが当然多くなってしまうのだが、俺は普通の家電芸人というより、インディーズ家電芸人としてお伝えしたい。最近は、ライターの人たちもネット上に過去に書いた記事が残り、紹介した企業が倒産しているじゃないか、商品が全然ヒットしていないじゃないかと言われ、見る目がない、先見性がないとツッコまれてしまうので、どうしても、既に成功している企業や、大企業の成功分野を取り上げがちだ。スティーブ・ジョブズがガレージから会社をスタートさせた当時、それを記事に取り上げるというのは非常に難しい。100社取材して1社、いや、1000社見て1社残ればいい方だろう。だからこそ俺は、ゼロから北米でチャレンジしている方を取り上げたいと思う。

 オバマ大統領が、「これからは3Dプリンターだ」と、ものづくりに再度チャレンジしようとしていて、あのGEでさえ、金融業から再びものづくりに戻るという話もある。早速3Dプリンターブースが集まるエリアに足を運んだ。

 アメリカは、特定の産業、例えばバイオテクノロジーとか、高度情報通信社会の構築に向けての全国的な光ファイバーネットワークとか、明確に次の産業育成の話をする。一方日本の場合はアベノミクスだが、漠然とした〝なんとなく成長戦略〟なんだよ。チャレンジして失敗したらどうするんだということばかりが先走り、官僚も責任を取りたくないしで、どうしてもつかみどころがなくなってしまっている。日本国民1億3Dプリンター総活躍社会とか明確にしてやれば、自然と活躍する女性たちが必ず出てくる。わざわざ女性活躍社会とか言われても、女性の立場からすれば大きなお世話なのではないだろうか。1家に1台、3Dプリンターを配るくらいのことをやってもいいのではないかと俺は思う。

 3Dプリンターも非常に発展し、昔は1千万円くらいしたのに、誰にでも手の届く値段になっている。最近、紫外線によって樹脂を固め、非常に細かい造形物を作る3Dプリンターも人気。そうかと思うと、中国はやはり激安の3万円台からの3Dプリンターを作っていた。俺は全世界から面白い動画を自動で集めるサイトを作っているのだが、3Dプリンターで家を作りました、とか、車を作りました、ピザを作りましたなど、様々な企業や個人がチャレンジしている。もちろん、いろいろ不具合もあったりするのだろうが、そこにパワーやカオスを感じてしまう。

 CESでブースを出展するために1千万〜2千万円をかけるのであれば、日本独特のシステムである“商社”の営業マンにお願いした方が、販売につながるというのもわかる。だけど、その総合商社も官僚化してきて、チャレンジできなくなっているのだ。

 CESには、国家戦略として打ち出している中国や韓国など他のアジア諸国のブースばかり並んでいて、日本のブースにはなかなか出会えない。そんななか、チャレンジ3Dプリンターに出会った。“Mcor Arke”というアイルランドのメーカーが作った、なななんと、フルカラーで紙を重ねていくプリンターなのだ!通常は樹脂だが、紙を造形素材として積層していく。フルカラープリンターの3Dバージョンだ。昨年、うちの江頭2:50が、“エガヘッド”という頭にすっぽりかぶるペーパークラフトを売り出し、なぜかラグビーの五郎丸選手がかぶって話題になったが、それができてしまうのだ。普通のA4サイズの紙であったり、大型のトイレットペーパーのようなロール紙で作成できるので、材料費が安い。人の顔など、フィギュアとはまた違った折り紙のような、いや、子供の頃紙粘土に色を塗って人形を作ったり、夏休みの宿題で貯金箱を作ったりしたが、その精度の高いものがこの3Dプリンターでできるのだ。

日本企業のチャレンジ

日本企業のチャレンジ

ボンサイラボのブースにて、俺が手に持っているのがFab Pod。開発費用はクラウドファンディングで募ったという


 日本のベンチャーメーカーはないのか、と諦めかけていたところで、ボンサイラボ(bonsai lab)という、まだ立ち上がったばかりの日本の会社に出会うことができた。そこではボンサイラボが開発した3Dプリンター“Fab Pod”と、そのソフト“Fab PodUI”を展示していた。海外市場向け商品で500ドルを切るというチャレンジっぷり。

 3Dプリンターというのはソフトデータを作るのが非常に難しいのだが、この“Fab PodUI”にはなんと音声ナビゲーションがついていて、俺のようにパソコンが苦手な者でも扱いやすい。その上、ソフトは無料で提供し、使用するプリンターは問わないという。早速、ブースの女性、白沢みきさんに話を聞くと、「日本ではアメリカのように簡単に投資家が現れません。アメリカなら、お店が立ち行かなくなっても、私がやるよ、という投資家がすぐに現れますが、日本ではそういったシステムができていません。エンジェルファンドはあるけれど、審査が非常に厳しい割に融資金額は少なく、銀行だと個人保証まで求められてしまうんです」と話してくれた。

 ボンサイラボは、なんとクラウドファンディングで3Dプリンターの投資資金を見事に獲得していたのだ。『きびだんご』というクラウドファンディングのウェブサイトがあるのだが、そこにボンサイラボで3Dプリンターを作りますと掲載したら、驚くことに1190万円が集まったそうだ。さらに、これとはまた別の機種なのだが、あのディアゴスティーニから『週刊マイ3Dプリンター』を発売し、全55巻を揃えれば一般の人でも作れる3Dプリンターを世に送り出した。非常に面白くチャレンジしていると思わないか?

 「来年のCESでは、ベンチャーのエリアではなく、3Dプリンターのエリアに出展します。もう予約しました!」と張り切っていた。わざわざ女性活躍社会などと言わなくても、頑張っているのがよくわかる。ぜひ、ウェブページでこの活躍ぶりを見てもらいたい。

【bonsai lab】 https://www.bonsailab.asia/index.html

大川興業 総裁 大川豊氏

大川興業 総裁 大川豊氏

Yutaka Ookawa■1962年2月14日東京生まれ。明治大学商学部に在学中、「ラブアタック」「プロポーズ大作戦」「パンチDEデート」などのテレビ番組に出演。83年、学ランのパフォーマンス集団「大川興業」を結成。ナンセンスな笑いを提供する一方で社会情勢や政治的な内容を取り入れた過激なパフォーマンスで人気となる。就職活動で153社の試験に落ち、85年に自ら大川興業株式会社を設立。自分で自分に内定を出し、代表取締役に就任した。テレビ、舞台を中心とした小劇団的な活動で全国ツアーを行い、時代を先取りするストーリー展開で世間を賑わす。週刊プレイボーイを始め多数連載。政財界人との対談や、北朝鮮、イラク、9.11直後のNYなど世界の現場にも足を運ぶ。大学時代から重ね続けている借金をネタに雑誌「ぴあ」に連載したコラム「金なら返せん!」が人気を博す。芸能事務所の代表取締役としては、江頭2:50や阿曽山大噴火などを世に送り出している。


2016年4月号掲載