私は永住権保持者ですが、今回、日本での仕事が決まり長期間日本に滞在しなければならなくなりました。長い期間、米国を離れると永住権を失うと聞いたことがあるため、これを機に市民権の申請を検討しています。日本に居ながらにして、申請は可能なのでしょうか。

 永住権保持者が米国を長期で不在にする場合、まずRe-entry Permitの申請が挙げられます。米国を離れる前に申請を行えば、永住権を失うことなく2年間は海外に滞在することができます。また、2年以内に米国に一度戻り、再度Re-entry Permitの申請を行えば、さらに2年間、永住権を保有したまま海外に滞在することが可能です。この後も1年ごとに延長ができますが、これには米国に戻る意志があること(例えば、米国の会社より派遣されている等)を書面で証明する必要があります。従って、あなたの日本での滞在が4年間を超えるような場合には、市民権の申請も選択肢に入ると言えるでしょう。

 市民権取得の条件としては、まず永住権を取得してから5年(※米国市民と結婚した場合は3年)を経過していることです。申請は、期間満了の3カ月前から開始することができるので、永住権を取得してから4年9カ月(米国市民と結婚した場合は2年9カ月)を経過していれば可能です。ただし、永住権を取得してから5年(※)が経過するまで、宣誓式には参加することはできません。

 この規定期間(5年ないし3年)のうち、合計してその半分(5年の場合は30カ月)以上は米国に滞在していなければなりません。また、この規定期間は米国に継続的に居住する必要があり、もし米国を長期間不在にすると、左記の理由で市民権の取得ができない場合があります。
❶6カ月未満不在の場合は、米国に継続的に居住しているとみなされる。
❷6カ月以上1年未満の不在の場合は、米国における継続的な居住を放棄したとみなされ、市民権の取得に影響を及ぼす可能性があります。この場合は、申請者が米国における継続的な居住を放棄していないという客観的な証拠を提出することにより、申請が認められる余地がありますが、この立証責任は申請者にあります。特に昨今は審査が非常に厳しくなり、申請書に説明や証拠書類が添付されていない場合は、申請書自体が審査に入る前に送り返される傾向にあります。
❸1年以上不在の場合は、市民権を申請する条件としての継続的な米国での居住条件を満たしていないとみなされます。ただし、米国軍隊に属していたり、米国政府機関、あるいは宗教目的による場合などは例外とされています。

 上記の条件は、市民権申請を行った後も、市民権取得時まで満たし続けなければならないとされています。ただし、これらの規定は厳格な判断基準ではなく、一般的なガイドラインとして使用されるものであり、種々の判断は個別になされています。

 ここで注意していただきたいのが、Re-entry Permitは、あくまで永住権を保持するためのものであって、市民権を申請する条件を保持するものではないことです。従って、Re-entry Permitを使って長期にわたって米国国外に出た後、Re-entry Permitの延長が困難になったため市民権の申請をしようと試みたとしても、その時点で既に手遅れになっているということです。

 市民権は、N-400という書式と写真2枚、永住権(表裏)のコピーに申請料680ドル(フィンガープリント料85ドルを含む)を添えて申請します。申請書を提出後に、フィンガープリントの通知が来ます。これにより犯罪歴のチェックが行われます。そして、申請書提出後、約6〜8カ月で面接になります。面接の後、約3カ月で宣誓式となり、この日に公式に米国市民となることが認められます。

 あなたの場合は、市民権を申請するのであれば、6カ月に1度は米国に戻ってくること、そして、上記のフィンガープリント、面接、および宣誓式の際にも米国にいなければなりません。また、宣誓式の時点で、過去5年間のうち、少なくとも半分以上は米国内に滞在している必要があります。これらの条件を踏まえて、Re-entry Permit、または市民権の取得を検討されると良いでしょう。


2016年8月号掲載