親の目、観察力を磨く

親の目、観察力を磨く

モンテ歴1年目。色んなお仕事やってるよ!


 子育てをする上で、親が持ち得なければならない能力とは一体、何でしょうか?それは観察力です。

 刻一刻と成長していく、子どもの動向を正確に把握するためには親の目が頼りになります。例えば公園に子どもを連れて行ったとしましょう。そうすると子どものことよりもママ友や周囲に気を取られがちで、子どもたちがどこでどんな遊びをしているのかよく見ていません。親は子どもをしっかりと見ているようで、案外見ていないことも多いのです。

 ついママ友同士の会話に夢中になってしまって、子どもの泣き声で初めて「何が起きたの?」と驚くようなケースさえあります。そんな時に子どもから「Aちゃんが叩いたんだよ!」という報告を受けても、その様子を見ていないので実際に何が起きたかなんて状況判断すらままならないのです。得てして子どもの主張することを鵜呑みにしてAちゃんを注意してしまい、それが事実でなかった場合、Aちゃんは傷つき、親(大人)を信用してくれなくなるかもしれません。そして「どうせ言ってもわかってくれない」と、ほんの小さな出来事がトラウマになることも十分考えられるので、親の観察力を養い、日常から目を離さないでいてあげてください。

 よく親御さんから「この年頃の子どもってどんなことに興味があるんですか?」という質問を受けることがあります。家におもちゃがいくつかあったとして、そのなかでもどのおもちゃに興味があるのか、どんな遊び方を好んでいるのか?など、注意深く観察することで、その時々の子どもの傾向はわかってくるものです。また、自分で興味があることを見つけてくるので、子どもが遊んでいるおもちゃなどを注意深く観察するだけで、買い与えるおもちゃの種類を減らすことができるのです。

 特に2歳児は多感で、何事においても興味を持って集中するため、その能力が飛躍的に伸びる時期でもあります。その子どもにとって的確なものを準備して与えることで、とても満足して一人で遊んでくれるのです。お母さんにとっても集中して遊んでくれることで、「うちの子は落ち着いている。安定している」という親子の安心感となり心にも余裕が生まれます。発育と躾という2つの要素を上手く取り入れながら、脳を活性化させ、きちんと順序立ててルールを守らせることで、子どもの成長も育まれていきます。そのためにも常に子どもを観察してその時々の状態を把握し、子どもが何を欲しているかを見極めることは親子にとっても必要な能力と言えるでしょう。

子どもと向き合う意味

 子どもの成長過程において、道に迷って「わからないから教えてほしい」と答えを求めてきた時に、親は子どもに対して厳しく突き放すのではなく、時に寄り添って同じ方向を向いてあげることはとても大切なことです。

 そして、もう一つ大切なことは秩序。家や周囲の環境が常に同じであることで、子どもは安心感を覚えます。逆に毎日違う環境にいるだけで、混乱してしまいます。それはなぜでしょうか?子どもは秩序の敏感期に直面しているので、環境が秩序立っていないことにイライラしてしまい、それを上手く表現できずに「イヤイヤ」が始まったり、とても過敏に反応したりするのです。それはこの時期、避けては通れない過程なので、理解し受け入れてあげることも子どもと上手く付き合う方法の一つです。

 昨日の子どもと今日の子どもはどこか違います。子どもの一瞬の成長をも見過ごさないようにしましょう。

モンテッソーリ国際学園主宰 炭川 純代

 日本でモンテッソーリ教師の資格を取得。 1988年より幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。 その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。 American Montessori Society (AMS) 認定の幼および小学部の資格を取得し、Casa Montessori Schoolにて7年間勤務。 2003年にUCLAで心理学学士号取得。セラピストとして、自閉症児を支援し、障害を持つ子どもたちとその兄弟姉妹たちで結成したミュージカル“Miraclecats”のディレクターを務める。 2009年にCollege of St. Catherineにて教育学の修士号取得。 現在は、サンタアナ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。公益財団日本モンテッソーリ教育総合研究所実践講師。 Casa Montessori School 役員を務める。


【ウェブサイト】http://www.monteintel.com


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2016年5月号掲載