幼少期に、なぜ五感を磨く必要性があるのか?

幼少期に、なぜ五感を磨く必要性があるのか?

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 人間には五感と呼ばれる視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚を通して外からの情報を取り込み、脳でそれらを精査し判断する能力が備わっています。自由な発想から生み出されるクリエイティビティー活動には、必ずその元となる情報があります。その情報を吸収しているのは私たちの感覚器官であり、より質の高い情報を察知するためには、五感を研ぎ澄まし洗練することが重要となってきます。例えば、「ね」という文字と「れ」という文字は似通っていますが、その差を見極める観察力は視覚によるものです。特に五感のなかでも視覚から得られる情報量は約8割を占めると言われています。そもそも人間の五感は胎児の時に原形が形成され、最初に発達するのは触覚と言われ、五感と共に脳も発達していくそうです。

 では、いつどうやって子どもの五感は磨かれていくのでしょうか?それは、感覚が敏感な幼少期が最適と言われています。幼少期に五感を鍛えることで脳が活性化され、後の成長期に飛躍的に才能が伸びることもあるのです。特に3歳頃は普段の生活や身の回りのものすべてが興味の対象になるので、反応を示したモノを並べていつでも手にとって遊べるようにしておくと良いでしょう。また、親とのスキンシップやコミュニケーションも、とても大切な要素になります。

モンテッソーリの感覚教育の特長とは?

 使用する教材のなかには味覚を刺激するものや、様々な音を集めた聴覚を刺激するものもあります。モンテッソーリの教材は、ただ子どもたちの知的好奇心をくすぐり刺激するだけでなく、それにプラスαがあるのが特長です。どういうことかと言うと、そこにもう一つ違う要素を加えてあげることでさらに知性に働きかけるように特化しているのです。それは「操作」です。単に音を聞かせて情報を与えるだけでなく、カテゴリー分けをしたり、順序付けをしたりすることで、音の敏感期でもあるこの時期こそ、知性も開化しやすくなるのです。

 ひと言で「音」と言っても、私たちは日頃の生活音も含めると、あらゆる音を耳にしていますよね。それを例えば高い音や低い音といったカテゴリーに分けた時に、初めて子どもは「高い音、低い音とはこういうことなんだ」と認識するようになります。音でいえば、強弱も比較できますよね。それも、音だけに特化した教材があるからこそ初めて比べることができるのです。そこに色が付いていたり、ザラザラ、ツルツルといった感触のような他の要素が入ってしまうと、感覚的に何を比べていいのかわからなくなってしまいます。

 教材に「雑音筒」というものがあるのですが、筒の中に豆や砂といった異なった大きさのものを混ぜて入れます。子どもたちはそれを振って聞こえてくる音がどれと一緒だったのかをマッチングする「音の神経衰弱」を楽しんだり、強い音から弱い音へ並べていくようなグレーディングの操作を遊び感覚で行います。そうすることでより聴覚を研ぎ澄まし、同時に音を整理する方法などを学び、優れた感性を磨いているのです。特に幼少期の生活は常に感覚を使って興味、関心を持って活動し、経験として蓄積していくわけですから、感受性も同時に育つため、ますます重要になってきます。

 モンテッソーリでは、感覚が最も敏感になる幼少期に、感覚を磨く道具や本などの提供をすることで子どもたちの興味を助長させ、より有効的に成長への足がかりを目的に感覚教育に力を入れて取り組んでいます。

モンテッソーリ国際学園主宰 炭川 純代

 日本でモンテッソーリ教師の資格を取得。 1988年より幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。 その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。 American Montessori Society (AMS) 認定の幼および小学部の資格を取得し、Casa Montessori Schoolにて7年間勤務。 2003年にUCLAで心理学学士号取得。セラピストとして、自閉症児を支援し、障害を持つ子どもたちとその兄弟姉妹たちで結成したミュージカル“Miraclecats”のディレクターを務める。 2009年にCollege of St. Catherineにて教育学の修士号取得。 現在は、サンタアナ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。公益財団日本モンテッソーリ教育総合研究所実践講師。 Casa Montessori School 役員を務める。


【ウェブサイト】http://www.monteintel.com


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2016年6月号掲載