適切な座席を従業員に与える雇用者の義務

 カリフォルニア州労働法では、勤務中に席に座ることが可能な職務のすべての従業員に、適切な座席を与えるべきであると定めています。さらに、従業員が立った状態で業務を行わなければならない職務であっても、雇用者は従業員が座れるだけの数の座席を職場に用意する義務があり、従業員は職務の妨げにならない程度にその席を使用できると定めています。従って、スーパーのキャッシャー等でも、基本的には立ち作業ですが、忙しくない時は全員が座れる座席を用意する義務があるということになります。

 この法律に際し、雇用者の義務に関して訴訟が行われ、今年カリフォルニア州最高裁の判決により、今まで不明確であった内容がより明確になりました。

 まず「勤務中に席に座ることが可能な職務を持つすべての従業員」という定義に関して、カリフォルニア州最高裁は、実際に行われている業務あるいは行われているであろう業務をもとに「席に座ることが可能な職務」の判断をするべきであり、その従業員の肩書等は関係ないと判断しました。

 また、席に座ることが可能な職務であるか否かの判断は、その職務に関わるすべての状況を考慮し、客観的に判断されるべきであるとしています。例えば、雇用者の判断基準や職場のレイアウトなどは、席に座ることが可能な職務を判断する要素の一つですが、それだけでなく、その他の要素も考慮する必要があります。ただし、この判断は職務に関わる状況をもとに行われなければならないので、従業員個人の身体状況などは判断基準の要素とはなりません。

 なお従業員が、雇用者が適切な座席を用意しなかったと主張した際、座席の用意は不要である、または、用意することが不可能であると雇用者が主張した場合は、それを雇用者が証明しなければならないと裁判所は判断しました。

 この判決により、カリフォルニア州の雇用者は大きな影響を受けることが予想されます。場合によっては、座席が与えられていないことを理由に訴訟が生じる可能性もありますので、立ち業務をしている従業員がいる会社の雇用者は、弁護士に相談し、これらの法律に該当しないかなどの適切なアドバイスを受けることをおすすめします。


2016年9月号掲載