日米の政治と経済を考える

 2016年10月8日土曜日に、私の「モチベーションセミナー」を開催することが決まりました。今までは誌面を通じて私からの発信でしたが、この機会に読者の皆さんとお会いできることを楽しみにしています。

 さて、今年は日米がリーダーで揺れています。11月8日のアメリカ合衆国の第48代大統領選挙、7月31日に投開票が行われる東京都知事選と、アメリカと東京の未来を担うリーダーは一体誰になるのでしょうか?政治問題は、経済に直結してくる由々しき問題です。

 今号は、日米の政治、経済について考えてみたいと思います。

身近なことから政治に参加

身近なことから政治に参加

 今年6月に日本では選挙権が18歳以上になったことがニュースになりましたが、実は世界192カ国のうち約90%の176カ国が18歳までに選挙権が与えられているという事実をご存知だったでしょうか。つい先日まで20歳以上と制定されていた日本の制度はごく少数派だったというのですから、先進国でありながら世界のスタンダードからはかけ離れていたことになります。

 しかし、急に選挙権を引き下げたからといって、若者の政治の関心度は急激には上がりませんよね。だからと言って、我々も若者も「政治には興味がない」「政治家なんて信用できない」と、行動を起こす前から言っていたのでは状況は何も変わりません。

 大前提として、世の中には法律という大きなルールがあって人々の生活が営まれています。政治や法律から世の中を変えていけないだろうか。始めから政治は自分には関係ないとシャットダウンするのではなく、政治に参加することによって、自分たちが住む町や市がきれいになったり、困っている人が救われたりするのです。例えば、あなたが住む町の景観を守るために政治に参加することは町の力となり、何より民意を反映させていくことが町の発展や未来につながります。市(町)民である私たちから市や町を少しでも良くしようと、自治体や人、行政を動かしていくことで、世の中が変わっていくと思いませんか?

 アメリカではニューポートビーチ市やサンタバーバラ市などの指定された区域の屋根の色は統一されています。これらは街の外観を良くするために条例で定められているからです。私は大学時代、京都に住んでいましたが、約10年前から京都府景観条例が施行されました。日本の伝統文化を代表する街として景観をみんなで守っているのです。どんなに良いことでも、法律や条例を制定できるのは国や町の議会であって、それに参加することが世の中を自分たちから変えていこうとする第一歩だと私は思います。個人や企業で変えていこうとする者もいれば、政治の現場に携わる人もいることでしょう。まずは身近なことから関心を持って、自らが政治(市政、まちづくり)に参加してみることから始めてみてはいかがですか。

アメリカの経済と政権交代

アメリカの経済と政権交代

 去る7月10日に投開票された第24回参議院議員通常選挙では、自民、公明党の連立与党で改選議席の過半数を大きく上回る70議席を占め与党が圧勝しました。私たちの暮らすアメリカでも、11月8日の大統領選挙に向けて、全米規模で激しい戦いが繰り広げられています。

 6月7日に、ヒラリー・クリントン元国務長官が民主党の指名候補に確定しました。女性が2大政党の指名候補に正式になったのは、アメリカ建国以来初めてで、全米がこの話題で盛り上がりました。

 7月19日に、オハイオ州で開かれた党大会で指名獲得に必要な投票数を大幅に上回り、ドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補指名を獲得。下馬評通りの対戦になりました。もしヒラリー氏が勝てば、アメリカ建国以来初の女性大統領が誕生します。42代大統領を歴任したビル・クリントン氏のファースト・レディーでもあったヒラリー氏が大統領になれば、すべて初めてづくしの偉業となること間違いなしです。

 片やトランプ氏は、1980年代の不動産ブームの火付け役として飛躍的に事業を拡大。言わずと知れたアメリカの不動産王で、起業家として大成功を収めた人物です。私はトランプ氏の書籍をたくさん読んでいるので、彼の人物像もよく理解していますが、ビジネスマンが政治家になるということには大賛成です。

 例えば国家を企業とするならば、赤字続きの財政は借金を抱えていることになります。政治(国家)だと借金は良くて、個人レベルではダメだというのはおかしな話ではないでしょうか?何十年も赤字続きの企業が存続すること自体、そもそもあり得ないことであって、資本主義国家で、それは辻褄が合いません。そういったビジネスマインドも持ち合わせた上でハンドルできる起業家やビジネスマンが適していると私は思います。ただトランプ氏の場合、差別や反日的な言動が多々見られるので、国を動かす大統領として適任か否かは別問題として、私が尊敬する投資家のウォーレン・バフェット氏やマイクロソフト社のビル・ゲイツ氏など、バランスの取れた経済観念が備わった人物こそ、本来、政治家になるべきだと私は常々思っています。

 対照的な2人ですが、どちらが勝ってもおかしくないほど白熱した戦いになることでしょう。

都知事の役割と都政の規模

都知事の役割と都政の規模

 8月号が発行される頃には、東京都の舛添要一都知事の辞職に伴う都知事選の投開票も終わっていますが、都民は果たして誰に舵取りを委ねているでしょうか。

 東京都の人口は1361万3660人(2016年6月現在)。日本の総人口の約1割を占めています。昨今、東京一極集中のため、地方では若者の流出などで過疎化が進んでいると言われていますが、東京首都圏の人口は21世紀に入っても増加を続け、経済都市としてGDP(国内総生産)は世界第1位を誇る大都市圏です。

 そもそも「都」というのは府県と市町村の2つの役割を合わせた大都市制度として東京都制(昭和18年法律89号)が施行された特別区制度を採用しています。大都市行政としても、市が府県の事務業務の一部を担うのに対して、それぞれの特別区(23区)が一般的に市町村の行政を行い、都が市の事務を担うといった中央集権的官治主義をとっているため、東京都のトップとなると、知事と市長の2つの権限を持つことになります。

 東京都が抱える職員数は警察、消防、教員を含めると約16万6千人(2016年度定員数)。都の予算は特別会計も含めると13兆3千億円(2014年度)と巨額で、スウェーデンやインドネシアの国家並みの予算規模は国政にも大きな影響を与えていると言えるでしょう。そんな大統領にも匹敵するほどの権限があると言われる東京都の代表にふさわしい人物とは誰でしょう。東京都の新都知事の任期は2020年7月30日までとなっており、2020年7月24日に開幕の東京五輪開催中に任期満了を迎えます。

 舛添前都知事の交代劇は、これが都民の声、民意であれば私は良いと思いますが、マスコミが先導したり、逆にマスコミを利用して第三者が仕掛けたりしていたならば、それはおかしな話だと思います。現代社会は情報過多で、一人一人が見極める目を持たなければ、今後、誰がリーダーになっても同じ道を辿ることになるのです。テレビの報道やウェブサイトに書いてあることをただ鵜呑みにするのではなく、コインに裏と表があるように、裏にも目を向けてみないと本当の意図や意味は理解できないと思います。特に政治には裏と表は付き物で、打ち出された政策の裏側をきちんと検証してこそ真実が見えてくるものです。都民が、国民が、政治に正面から向き合って少しでも考えることで、その裏側も見えてくるようになれば、一人一人の意識が都や国を支える力になると私は信じています。

都民の求めるリーダー像とは

都民の求めるリーダー像とは

 さて、話を戻しましょう。現段階の候補者のなかで前述したように、バランスの取れた経済観念も備わった人物となると、当たり前ですが政治家として、政治をきちんと全うできる人なのでしょうが、やはり知名度が人気のバロメーターでもあるので、元ニュースキャスターであり、防衛大臣や環境大臣、内閣府特命担当大臣を歴任した小池百合子氏や、ニュースキャスターの経験もありジャーナリストの鳥越俊太郎氏などは優勢でしょうね。

 残念ながら、政治の世界では自民党都連などの下支えなしには、一般人が立候補しても勝算はありません。ましてや都知事ほどの大役となれば東京都の顔としての役割も大きく、2020年の東京五輪開催の陣頭指揮も執らなければなりません。絶対的な知名度がなければ勝てないのも事実です。

 そんな古い体質を痛烈に批判するかのように自民党の公認もなく掟破りで出馬を表明したのが小池氏です。続いて絶対に政界進出はないと断言していた鳥越氏の出馬も話題を呼びました。小池氏は政治家として活動をしてこられて、ニュースキャスターとして会社に属した経験もありますが、実際にビジネスの経験はないと思います。鳥越氏もジャーナリストとして政治を間近に見てきたでしょうが、ビジネスに関しては同様だと思うので、そこが気になります。

 やはり、政治と経済は表裏一体なので、経済がうまく回らなければ政治もうまく回っていかないものです。なので、安倍首相が打ち出した経済政策である〝アベノミクス〟は、理にかなった政策であり現実に経済効果を発揮していると思います。また、郵政を民営化した小泉元首相も、絶対的なカリスマ性で人を引っ張っていく人心掌握術がすごかったですよね。ただ、2人とも政治家気質で、ビジネスの経験はほぼ皆無。そう考えると私が求めるリーダー像の人物は見当たらないのですが、今回の都知事選はこれまでのマスコミへの露出度も加味して考えると断然この2人の戦いになるでしょう。

 誰が東京都のリーダーになったとしても、2020年の東京五輪を一過性の経済効果やトレンドで終わらせることなく、本当の意味で東京(日本)の活性化に繋がっていくような計画を打ち出し推進しいほしいと切に願っています。

 ちなみに私の4年後は東京五輪でゴルファーとして参加しているかもしれません(笑)。4年後をお楽しみに!

長谷川滋利/Shigetoshi Hasegawa

長谷川滋利/Shigetoshi Hasegawa

Shigetoshi Hasegawa■1990年のドラフトでオリックス・ブルーウェーブの1位指名を受け入団。プロ1年目の91年に12勝し最優秀新人賞を獲得。95年には12勝、防御率2.89の好成績を残し、オールスターゲームにも出場。97年1月、アナハイム・エンジェルスに入団、02年1月、シアトル・マリナーズへ移籍。03年はクローザーに起用され、63試合に登板し2勝16セーブ、防御率1.48。オールスターゲームにも出場した。06年1月、引退。現在は野球解説のかたわら、講演や執筆活動、自身のウェブサイト(www.sportskaisetsu.com)にコラムを展開中


●野球専用トレーニング施設
PTC Mazda(トラベルチーム)MAZDA社がスポンサーする18歳以下のトラベルチームを運営中
E-mail: PTCbaseball@msn.com

長谷川滋利さんの公式ウェブサイト: www.SportsKaisetsu.com
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2016年8月号掲載