秋の特選インタビュー|歌手 由紀さおりさん
           声楽家 安田祥子さん

秋の特選インタビュー|歌手 由紀さおりさん</br>           声楽家 安田祥子さん


一緒に歌い続けて30年の2人。これまでたくさんの国と地域で歌唱してきた日本の歌。言葉や文化が違う国で生活し、育った日本人の心にもじんわりと沁みわたる2人の歌声に、どれほどの人が感動したことだろう。今回15年ぶりとなるロサンゼルス、アラタニ劇場でのコンサートを前に、これまでの思い出や歌への想いを伺った。

Q:今回で、ロサンゼルスは何回目の訪問ですか?

由紀さおり(以下:由紀):ロサンゼルスにはご縁もあって仕事でもプライベートでも、数え切れないほど出かけているんですよ。

安田祥子(以下:安田):コンサートでは、1995〜98年、そして2001年と、姉妹でのコンサートを計5回アラタニ劇場で行いました。

Q:ロサンゼルスに対するイメージ、印象は?

由紀:青い空、広い道路、だけど、運転できないと暮らせないだろうなと思います。

安田:広大な土地に高いビルが建ち並び、温暖なゆったりとした街と思っていました。実際に伺ってみるとやっぱり車がないと動けないくらい、何もかもが大きな大きな街でしたね。そして、私たちを呼んでいただき、応援してくださったのはリトルトーキョーの方々でした。楽屋ではお座布団、お茶など、まるで日本にいるようなおもてなしをしていただき、毎回楽しみでした。

Q:69年のデビューから歌手活動47年になりますが、思い出に残っている楽曲やコンサートは?

由紀:それは、数え切れないほどありますね。ロサンゼルスではアラタニ劇場、日本語補習校、日系引退者ホームへの訪問。ニューヨークのカーネギーホールでのコンサート。ロンドンで歌ったこと。最近はハリウッド・ボウルで歌ったことかしら。

Q:初めてピンク・マルティーニとの共演が決まった時の気持ちを教えてください。このコラボレーションが決まったきっかけは何だったのでしょうか?また、アルバムが完成した時の感想は?

由紀:きっかけは、ピンク・マルティーニが私の曲を歌っている動画をスタッフがYouTubeで見つけて、私の40周年のステージで、その動画を使用したいという依頼をメールでやりとりしたことから発展したんです。CDができるまでに、随分と時間がかかってしまったので、出来上がった時にはほっとしました。

Q:2013年に映画『ウルヴァリン:SAMURAI』の挿入歌として「生きがい」の起用が決まり、同年7月19日〜21日の3夜連続公演ではハリウッド・ボウル・デビューを果たしましたが、その時の感想は?また、ハリウッド・ボウルでの初めての舞台で思い出や特に印象に残った場面はありますか?

由紀:ハリウッド・ボウルでのピンク・マルティーニの公演では、シンガーが4名いたので、私は着物を着て出演しようと思いました。当日は、白地に金色で「心」という文字を描いてもらいました。

Q:海外公演も行われていますが、今まで何カ国くらい訪問されましたか?

由紀:アジアの国々を入れると20カ国以上かしら。今年はネパールに出かけました。特に印象深いのは岩盤の上にできた街バーレーンで歌ったことです。

安田:アメリカはニューヨークを始め色々な都市へ行きました。15年目にワールドツアーを行ない、パリ、ロンドン、ウィーン、シドニーなど。アジアの学校建設事業の開校式でラオス、ベトナム、ミャンマー、ネパール。初めてニューヨークの日本語補習校で歌った時、「由紀さおりさん 安田祥子さんようこそ」という幕を作ってくれて、タイミングを計ってウェーブをして盛り上げてくれました。「さすがエンターテインメントの国は盛り上げ方が身に付いてる!」と驚かされ、嬉しかったことを覚えています。また、今年1月にシカゴの補習校を訪ねた時にリクエストされた「どんぐりコロコロ」で手拍子が湧いて、それが後打ち(アフタービート)だったのにはびっくり(笑)。日本の子供とは違った音楽のリズム感が身に付いているのですね。どれも楽しい思い出です。アジアの学校を訪ねる時は、「赤とんぼ」「ふるさと」をそれぞれの国の言葉で歌っています。子供たちが大きくなり日本の文化などに触れ合うようなことがあった時には思い出してもらえるかな?「深慮遠謀」の思いも込めています。

Q:童謡を歌う活動を通して、伝えたいメッセージなどがありましたら教えてください。

由紀:日本人として美しい言葉、発音、アクセント、イントネーション等、基本的なことを思い出してもらえたら何よりです。

安田:日本の歌を歌う時は、言葉と旋律の美しさを大切に思い、自分の思いを強く塗り込めない様に。聞いてくださる方に、言葉の裏側にある情景や思いを想像していただけるようにと歌っています。ある年代から上の方々は、自分がこの歌を聞いた時代にタイムスリップ。若い方には目に見えない気配りや思いやりなどを歌から感じてもらえることがたくさんあるので,大事な情緒感、季節感などを伝えていく努力をしていかなければと常に思っています。


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