私はシンガポールの子会社の立ち上げのために、日本の親会社より駐在員として赴任して2年になります。立ち上げのプロジェクトもあと2年で終了することが決まっており、その後、米国に赴任する予定です。本来ならば、Eビザ、あるいはLビザを取得して赴任するところですが、私の長女が現在19歳で、2年後の赴任時には、21歳を超えるため扶養家族として一 緒に連れて行くことができません。何かいい方法はないでしょうか?

 あなたの場合、米国での赴任が長期にわたること、また、あなたの長女が2年後には21歳になることを 考慮すれば、永住権を申請するのが得策かもしれません。

 もし、あなたが第1優先での永住権申請の条件を満たしているのであれば、今すぐに申請を開始すれば 約1年半で取得できると考えられます。それは、永住権の申請を開始するのに、米国にビザを取得して滞在している必要はないからです。

 通常、永住権を申請する場合(Hビザ等から)には、まず労働局での審査過程を踏み、労働局からの認可(Labor Certification)を取得する必要があります。この申請方法では、Labor Certificationを取得するだけで、1年〜2年半を要しています。雇用を通しての永住権の取得は、通常、第1〜第5優先と分けられ、通常用いられる方法は、第2、あるいは第3優先のカテゴリーに区分されます。ところが、第1優先による申請では、この労働局での審査を飛ばし、移民局での審査、その後の在日アメリカ大使館での面接の手続きのみです。移民局での審査は9ヶ月〜1年半程、アメリカ大使館での面接の手続きには4カ月〜6カ月を要することになります。

 あなたの場合、左記の条件を満たしていることを証明すれば、第1優先における永住権の申請が可能です。

 まず、❶日本にある会社と米国にある会社が親子関係にあること。これは、米国にある会社の %以上 の株式を日本にある会社が直接的 に所有している場合です。

 また、米国の50%以上の株主が日本の会社の50%以上の株式を所有している場合も親子関係にあるとみなされます。

 ❷米国の会社で部長、あるいは重役クラスなどの管理職に就いていること、あるいは就く予定であること。

 移民局では一般的にこれに関して、 申請者の下に部下がいるだけでは充分でなく、申請者の下に部下を持 つ役職の者がいることが要求され ます。言い換えると、会社の組織図 において申請者の下に2段以上のピラミッド型の管理体系があることが必要ということです。第1優先での申請を行うには、申請者の下に少なくとも合計で人以上の部下がいた方が良いと言えます。

 ❸申請(あるいは、Lビザ、もしくはEビザにて米国に入国する)前の過去3年間のうち、少なくとも1年間以上、部長、あるいは重役クラスなどの管理職として日本にある親会社(子会社、系列会社でも良 い)、またはその関連会社で勤務していたこと。

 あなたの場合はシンガポールの日本の子会社に勤務していたので、この条件を満たすことになります。

 最後に、❹米国での役職が短期のものではなく、永久的なものであることです。これには米国での会社が 日本(海外)の親会社より永住者を送らなければならない程の規模であるとみなされなければならず、それには相当額の売り上げと相当数の従業員の存在が要求されます。

 これらの条件を満たしていれば、 第1優先で永住権の申請書を提出 することができます。申請には米国 と日本にある会社の両方から、決 算報告書、会社設立に関する書類 など、会社が実際に存在し経営を行っていることを示す書類が必要となります。それに加え、あなたの場合はシンガポールの会社が日本の会社と親子関係にあることも立証しないといけないことになります。

 米国にある会社が設立されて1年以上経過していれば申請が可能で、 申請者自身が米国で働いている必要 もありません。また永住権は、配偶者、および21歳未満(永住権取得時期において)の子供も同時に取得することができます。従って、上述したように、赴任時まで待つのではなく、 今すぐに申請を開始すれば、あなたの長女も、赴任時には永住権を取得できており、一緒にアメリカで暮らすことができるようになります。


2016年10月号掲載